書名:川崎・たちばなの古代史 寺院・郡衙・古墳から探る
著者:村田 文夫
発行所:有隣堂
発行年月日:2010/2/20
ページ:213頁
定価:1000円+税
下末吉台地に広がる多摩川下流流域の川崎市高津区千年の伊勢山台に、1996(平成8)年、宅地造成に伴う発掘調査が行われた。その調査の結果、7棟の総柱式掘立柱建物跡が発見され、橘樹郡衙(たちばなぐんが)の推定地としてその存在が広く知られるようになった。その発掘調査に関わった著者の本です。
八世紀初め、律令国家の成立(大宝律令など)に伴い、現在の川崎市一帯は武蔵国橘樹郡に編成された。橘樹郡の郡衙の所在地は、今まで何処にあったか不明でした。今回の発掘調査で千年伊勢山台の遺跡が郡衙であると確認されました。正倉院(高床作りの稲、麻等などを保管する倉庫)の跡が見つかった。
大和朝廷の支配が及んできた時期、古代多摩川下流域の歴史について述べています。各地の郡衙の特徴としてその近くに寺院、神社がある。その郡寺として影向寺(ようごうじ)遺跡の歴史、当時政治経済の中心域とされた高津区千年周辺の子母口、千年、新作、梶ヶ谷、宮前区野川、馬絹などの遺跡、歴史などを混ぜながら古代の川崎の姿を描いています。
尚、131ページの「都筑郡衙は周知のとおり横浜市側の長者原遺跡であるが、その郡衙と離れた朝光寺原遺跡からも詳細不明ながら、同時期の郡衙遺跡が発掘されている。その朝光寺原遺跡は鶴見川支流である早渕川に近接しており」とあるが、谷本川の間違いではないかと思う。
橘樹郡衙跡及び影向寺遺跡の国史跡指定の取組みスタート | 宮前区観光協会
http://www.miyamae-kankou.net/historyculture-category/2013-10tachibanagunga/