書名:おれは清麿
著者:山本 兼一
発行所:祥伝社
発行年月日:2012/3/6
ページ:337頁
定価:1600円+税
「この刀はおれです。おれのこころです。折れず、撓まず、どこまでも斬れる。そうありたいと願って鍛えたんだ」幕末の名刀工の一人と称せられた清麿の生涯を描いた作品。
信州小諸藩赤岩村に生まれた山浦正行、のちの源清麿は、大石村の名主長岡家に十七歳で婿に入る。兄真雄の影響で鍛刀に興味を持ち、長岡家の農業はそっちのけで妻子もおろそかにして刀鍛冶の道に邁進する。熱中するとそれ以外見えなくなってしまう性格鍛刀にのめり込んでいく。
リズムがあって次々と興味をもって読める文体はなかなかもの、江戸時代の人々の息吹も生き生きと感じることが出来る。松代の鍛冶場で鍛刀で佐久間象山に、鍛えた刀を酷評され、それをバネとしてより名刀への思いを深くする。理想の刀を目指して松代、江戸、山口への旅。面白い小説です。