投稿者 スレッド: 月光仮面の経済学 さらば、無責任社会よ  (参照数 358 回)

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月光仮面の経済学 さらば、無責任社会よ
« 投稿日:: 10月 02, 2013, 07:45:24 pm »
書名:月光仮面の経済学 さらば、無責任社会よ
著者:金子 勝
発行所:NHK出版
発行年月日:2001/11/30
ページ:219頁
定価:950円+税

10数年前を思い出してみよう!当時、不良債権処理問題で大手銀行の債権に税金をつぎ込むということをやった。そして銀行の経営者は誰も責任を取らなかった。これらの経営者、勿論役人も「食い逃げ世代」後は「野となれ山となれ」自分たちの責任はほっておいて知らん顔。銀行経営者の不良債権ごまかし、ゼネコンの不正、これらの罪も問わず救済し続ける小泉内閣。

10年後も同じような事例が残っている。いや太平洋戦争で負けても誰も責任を取らない。タイタニック号で助かったのは1等客室の乗客。3等客室の乗客はほとんど海の藻屑となってしまった。一等船客だけを大事にする。これは財界首脳、キャリア役人それ以外は誰もみていない。気にしていない。

銀行が大変だから、税金を投入してデフレ、グローバルスタンダードといって、官から民へ、自己責任をそしてみんな無責任社会を作った。強い者が弱い者を虐める社会ではなく、弱い者がより弱い者を虐める。どうしょうもない社会、閉塞した社会に弱きを助け、強気をくじく月光仮面の「正義の味方」の出現を待っている。月光仮面は誰でもなれるあんまり強くないヒーロー、一人一人が素直に正しいことを貫くことが必要だと。益々群れで行動する日本人、人とは違った行動、言動は出来なくなってしまった日本人。変人が許されない社会になってしまった。でも変人が必要、一人になってもおかしいことはおかしいと言おう。

月光仮面は、ウルトラマンみたいにスペシウム光線が出せるわけでもない。スーパーマンみたいに空が飛べるわけでもない。仮面ライダーみたいに強靭なボディをもっているわけでもない。ゴレンジャーみたいに仲間がいるわけでもない。ウルトラマンは宇宙人同士が地球に来て戦っている。

ただ、白い装束にサングラス、日本製のオートバイにまたがって、疾風のようにやってくる 生身の人間、孤独な戦士だ。東京新聞に連載されたものを纏めた本です。政治、経済、社会のインチキを見破る眼力を養う「大人のための経済学教室」です。10年以上前の本なので全く言っていることが古いと言えないところが、哀しい。今でも十分通用する。原発事故でもJR北海道でも「食い逃げ世代」(団塊世代以前の人達、現役の1等船客達)の動きに注意?自分たちのことに汲々せずに、逃げられる世代のことを考える余裕が欲しい。

本書より
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「規制緩和政策によって人びとに「自己責任」をとらせれば、皆が必死に市場競争をするので経済が活性化するという新古典派理論のシナリオは、事実によって完全に裏切られている。皆、「自己責任」を果たすための行動が経済活動を萎縮させ、不況を深刻化させている」

「だが、ルールさえ整えれば、あとは市場任せでうまくゆくというわけではない。仮に、公正なルールやレフェリーが存在したとしても、市場の中で自己責任をとれない場合がたくさんある。人間の経済合理性や認知能力には限界があるからだ。いくつか例をあげてみよう。

たとえば、事故や病気のために働けなくなった場合、あるいは不況がひどくなって失業した場合、それは「本人の努力が不足している」から自己責任をとらなければならないと言われてもだれも納得できないだろう。さらに、身体障害者となった場合、本人や家族は生活を維持することが困難になる。

[…]こうした場合に備えて、年金・雇用保険・医療保険・介護保険などの社会保障制度や雇用を守る制度やルールが必要となる。いわゆる社会的セーフティーネットだ。

市場原理主義者は、こうした社会保障制度も「自助努力」の名の下に削減しようとする。しかし、社会保障費を削減すると、まず低所得者や弱者から生きてゆけなくなる。明らかにそれは正義に反する」

「こうしたバブル経済の破綻に直面しても、真面目に毎日働いている人々は「自己責任」をとりようがない。土地や株の値段が急激に上がると突然生活が楽になり、土地や株の値段が急激に下がると突然生活が苦しくなるからだ。「自助努力」といっても、投機活動で資産運用をしている金持ちたちを別にすれば、真面目にコツコツ働いている本人たちにはどうしようもない。

 他方、先に見たように、市場原理主義者ほど、バブル経済を引き起こした「自己責任」をとろうとしない。[…]市場原理主義者の言う「自己責任」論ほど欺瞞的なものはない」

これまで、弱気を助け強気をくじく「正義の味方」たちは、力んでは空回りし、仲間割れしては滅びていった。(中略)正義は、みんなが当たり前のように気軽に語り合うのが一番よい。必要なのは、不正義のインチキを見破る眼力と公正さを主張し続ける粘り強さだけである。

目次から
はじめに――月光仮面が再び現れる
Ⅰ 「改革」が招く泥沼デフレ ああ墜落していく、日本経済
長嶋茂雄と景気動向
ユニクロ現象のナゾ
なぜ日本は沈没するのか――タイタニック号と小泉政権
Ⅱ 日常に潜む狂気を見よ! 月光仮面の社会時評
チーズはだれが作ったのか?
お盆ラッシュは解消するな
Ⅲ 不気味な時代にどう立ち向かうか 月光仮面、民主主義を説く
なぜ民主主義が必要なの?
なぜ、ナショナリズムは「悪」なの?
おわりに――「時代の狂気」にサヨナラしよう