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邪馬台国の殺人
« 投稿日:: 9月 06, 2013, 11:25:28 am »
書名:邪馬台国の殺人
著者:中津 文彦
発行所:光文社
発行年月日:2002/1/25
ページ:258頁
定価:800円+税

魏志倭人伝に記載されていて、日本書紀、古事記には全く出てこない卑弥呼、邪馬台国、何故?古代のロマン「邪馬台国」「卑弥呼」そして日本の国家の成り立ちに深く示唆を与えてくれる。司法試験に落ち続けている浪人の倉橋謙次郎の叔父倉橋浩二が津軽の猿賀神社の蓮池で他殺死体で発見される。隣には地元の郷土史家柳原卯平衛の死体も。浩二は邪馬台国九州説となえる権威。柳原卯平衛が持ち込んだ「田道文書」が事件の鍵を握っている。田道将軍とは日本書紀の仁徳記に出てくる武将で、蝦夷討伐のために東北に進撃して現地で戦死した人物だそうである。猿賀神社は田道将軍を祀った神社。

この田道文書のコピーを入手した歴史小説家芦川玲子が田道文書を分析していく。その様子を倉橋謙次郎に語りながら古代の謎を解いていく。記紀では悪人とされる「クマソ」、そして「ヤマト」とは部族のことでその住んでいる地方の地名ではない。クマソは黒雲を神とした部族、ヤマトは太陽を神とした部族。そして日本はヤマトとクマソが交代で支配していたとする。

最初の天皇とされる神武天皇以前に「ウガヤフキアエズ王朝」(ヤマト)が74代続いていた。それを滅ぼしたのが神武(クマソ)、 綏靖天皇 安寧天皇 懿徳天皇 孝昭天皇 孝安天皇 孝霊天皇 孝元天皇 開化天皇(クマソ) それを滅ぼしたのが10代崇神天皇 垂仁天皇 景行天皇    成務天皇    仲哀天皇(神功皇后)(ヤマト)それを滅ぼしたのが15代応神天皇とクマソ、ヤマトと交代を繰り返してきたのが大和朝廷だと書かれていた。勿論「田道文書」なるものはこの物語に出てくるだけで世の中にはない。
「ウガヤフキアエズ王朝」の末期に国が乱れて100カ国に別れていた。そこを纏めたのが卑弥呼、そして神武の東遷へと。このヤマト、クマソの対立を何とか纏めようとして天武天皇が記紀の編纂をはじめたのだと。だからそれ以前の古史古伝は無視されてきたのだと。推理小説としては今ひとつという感じがするが、古代の物語はなかなか面白い。勿論正史にはならない説だけれど頭の体操には良いのでは?