写真の著作権は撮影者にあります。ではその中に写っている人(被写体)
にはどんな権利があるでしょう。まず人物の場合、その人、人たちの了解
が取れているか?(一般的に肖像権と言われている=法律用語として肖像
権という言葉はありません)
肖像権というのは、当人の承諾なしに容貌(ようぼう)・姿態(したい)
をみだりに撮影されない権利や、当人の承諾なしに顔写真や肖像画を公開
されない権利のことを言います。
肖像権は、明文規定がありませんので、憲法14条の「すべて国民は、
個人として尊重される。自由及び幸福追求に対する国民の権利については
、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必
要とする。」から導かれると考えられています。人格的権利となりますね。
それらをホームページなどに掲載する場合には、被写体である本人の許諾
が必要だと考えられます。
芸能人などは肖像権を人格的権利のとしてではなく、財産権の一つ(パ
ブリシティ権)として考えているようです。芸能人等にとって自分の顔は
商売道具で勝手に第三者に使われるのは財産権の侵害に当たる、という考
え方です。
また公務員が公務執行中の場合は肖像権としての権利はありません。プ
ライベートな場合は別。したがって小泉首相の顔を大きく掲載することも
問題ないことになります。また警官、区役所職員なども同様と考えられま
す。
次に建物、店の商品、ショーウインド等などについては美術品としての著
作権、商標権、意匠権等を主張される場合があります。(基本的には財産
権としての扱い)
本人の承諾なしで、写真を撮影、ホームページ等に掲載すると人格的権利
侵害として、親告罪となります。
親告罪とは被害を受けた当人からの親告ということになります。従ってそ
れを見付けた第三者はあくまで、本人に知らせてあげること位しか出来な
い。それを受けて親告するのは本人になります。
(また現実的には即、親告罪で訴えるということではなく、まず掲載を止め
てほしいという申し出、それでも止めない場合法的処置という流れですね)
本人が親告する場合は、名誉毀損、誹謗中傷、侮蔑、プライバシーの侵害等
の理由での訴えることになります。
ではどの程度の写真が人格的権利侵害になるか?
実際は裁判に問うことになりますが、本人1人が顔もはっきり判る程度に
写っていて、名前、住所等が判るような表記方法で明らかに本人と判る表
現であれば、人格的権利侵害と認定されると考えられます。
例えばグループが何か活動を行っている正面、後ろ姿、横向き等人が複数写
っている写真で、名前、住所等が判らない。ただ写真のみ、また家族、友人
知人等しか本人と判断できない場合、人格的侵害として親告しても却下され
ると思います。(法的根拠が無いと判断される)
憲法14条を厳密に考えると渋谷の町の中の人混みを写しているテレビなど
全員に了承をとっていないといけないことになりますね。顔、体をみただけ
で誰でもが誰々と判るだけの情報ではないですよね、アップで顔を出して、
名前を列記してあればプライバシー侵害等になる場合もありますが。
ホームページに写真を掲載する場合、基本的には撮影すること、ホームペー
ジに掲載する旨を話して承諾して貰っておくことが、基本です。
しかし、すべての人に承諾して貰えない場合は、明らかに本人と判るよう
な表現は避けて撮影する、掲載するということになると思います。
掲載後、本人から掲載をやめて欲しい等の申し出があった場合は速やかに
対応することで良いのではないかと考えます。
肖像権の問題はホームページを作る上で非常に重要な問題です。また四角四
面に考えているとホームページは作ることが出来ませんので、それなりのグ
レーゾーンがあるということを認識しておきましょう。
本人がいくら基本的人権の侵害と言っても、第三者の判断(裁判所)に任
せることになります。大抵の場合、風景の一部として有名人でもない個人が
写っている程度ではまず、人権侵害等の判断はされていません。敗訴ですね。
ただ、法的云々の前に、本人の意志を尊重するというのが基本だと思います。
また写真の提供者、ホームページ作者の表現の自由もまた権利として存在し
ていますので、その辺バランスをとっていくことになると思います。