書名:ガイアの復讐
著者:ジェームズ・ラブロック
監修:秋元勇巳
訳者:竹村健一
定価:1600+税
1970年代はじめ、地球上の生命は地表の状況を常にその時点における生命の
集合にとってもふさわしい状況になるよう積極的に保持しているという仮説を
発表した。(ガイア仮説)
その後理論を進めて「地球は1つの生命体である」という「ガイア理論」が
、1979年に『地球生命圏』として発表された。その衝撃的な理論故に多く
の専門家・学者からは非難と侮蔑の声、あるいは無視するという手厳しい態度
で迎えられた。一方ニューエイジ・ニューサイエンティストからは熱狂的に迎
えられた。特に反対の極にたった人物として「利己的な遺伝子」で有名な行動
生物学者、リチャード・ドーキンスがいる。リチャード・ドーキンスの理論に
反論できなかったラブロックはその後一層理論武装に励むことになる。
80才を越えたラブロックの近年の著作です。
生き残りのためのグローバルフォーラム
私たちは貧しい人々、飢えている人々を助けなければなりません。地球の面倒
は、神様にお任せしておけばいいのです。
「マザー・テレサ」
もし我々人類が地球を大切に思い、その面倒を見ようとしなければ、地球はガ
イアのやり方で我々に報い、必要とあらば我々を除こうとするでしょう。
「ラブロック」
ガイアの復讐が始まっており、人間による地球の破壊は閾値を越えてしまったと
著者は危機をもって語りかけている。化石燃料をこのままの状態で使い続けると
人間の存在にとっては大変な事になる。しかしガイアの眼からみれば、人類が殆
どいなくなっても100年いや1000年もすればガイアの自己保存のフィードバッ
クで地球は落ち着くところに落ち着く。しかしその時に人類はいなくなってしま
っている。
この動きを止めることは非常に難しい。化石燃料を即ストップすることはでき
ない。でも本当はストップすべきことである。化石燃料の代替え手段として水素
、太陽電池、風力発電、潮汐発電等いろいろ手段があるが、どれも開発途上で、
実際実用になるまでは少なくとも40年は必要である。今できることは宇宙の基本
的なエネルギー源として普遍的な核融合、核燃料を使うことが、今時点取り得る
最良の方法と提案している。時間が無い早く手を打たないと間に合わないと声を
大きくして訴えている。
人間の食料のために畑、田圃、牧場としている土地、それ以上にバイオ燃料な
どと植物を植えるための畑として地球を使うことは自殺行為である。
地球に人口68億人は多すぎる。10億人位が地球の環境循環が保全できる人数で
はないか?ではそれ以上の人々の食料はどうすればいいの?
ちょっと疑問が残る。彼に寄れば世界の人口20%で60%のエネルギーを消費
している。京都議定書に寄れば1990年の-6%の二酸化炭素に制限するという
公約。残り80%の人々は現状以下の生活で我慢しろ、若しくは死んでしまえと
いうのか?
とはいえ地球温暖化議論の一つの論理的根拠となっているバイブルとして是非と
も読んでおきたい本の一つだとおもう。著者もすべて理論的に完結したものでは
なくあくまで仮説としての提案であると言っている。科学は信じる信じないでは
なく、あくまで事実の積み重ねですが、このような地球環境となってくると人間
の寿命よりあまりにも長いので、傾向が見えてきたときには遅くに失するという
ことも頭に入れておかないといけないと思う。
「マザー・テレサ」が言うように人間が何でも出来る、地球を何とかしなければ
出来ると思い上がることは僭越であるのでしょう!
地球環境ガイア理論と人類の課題(秋元勇巳)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/snw/katudouhoukoku/document/sympojium_no03/akimoto070131.pdf