投稿者 スレッド: フリーソフトを考える  (参照数 2002 回)

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フリーソフトを考える
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 11:14:55 pm »
フリーソフトを考える
パソコンをお持ちの方は大抵使用したことのある圧縮ソフトの定番LHAの作
者吉崎栄泰(Yosizaki Haruyasu)さんを御存知ですか?
 圧縮ソフトLHAのことを知っている人でも吉崎栄泰さんのことは御存知で
ない方も多いのではないでしょうか?普通コンピュータのソフトの開発者とい
えばほとんどがコンピュータ関連の本業を持っている方という中、全く異色中
の異色、例外的な存在が吉崎氏なのである。現在北海道で内科のお医者さんを
している。コンピュータ好きの医学生吉崎氏は1955年北海道旭川の生まれ
、機械いじりが好きな少年であったらしい。札幌医科大学で内科を専攻。大学
時代にそのころ出始めたばかりのインテルのCPUチップ(嶋正利氏が開発・
・・ビジコン)を手に入れるなどコンピュータに早くから興味を持って取り組
んでいたようです。
パソコン通信の時代になると吉崎氏も相当熱心にはまり込んでいった。
1986年NECのPC-VANがスタート、翌年にはニフティサーブ(富士
通・日商岩井)がサービスを開始した。80年代後半はパソコン通信が一般に
普及し始めた時期に当たる。その当時はモデムのスピードも今とは違って、1
200ボー(最近のモデムを表現すると56Kボー)を使っていた時代である。
 ちょっとしたデータを送受するだけでも大変な時期であり、データ圧縮ソフ
トの潜在的需要はかなり高まっていた。当時高校の先生をしていた奥村晴彦氏
(現在松坂大学教授)がLZSS方式をさらに算術符号化するLZARIとい
う圧縮アルゴリズムをPC-VAN通信を通じて発表した。
 吉崎氏はこの奥村氏圧縮方式を見て、算術符号化の部分をハフマン符号化と
いう方式を採用することで、もっと効率的(圧縮率の高い)なアルゴリズムに
なるのではないかという考えを元にLZHUF方式を考案、実際にその方式に
基づいたアーカイバ(LHarc)を作った。
 1988年にニフティとアスキーネットにリリースした。その後奥村氏がア
メリカの圧縮に関する論文を吉崎氏に紹介、それを参考にLHarcの改良を行っ
てDOS版のLHAを完成。
 その後多くのボランティアの協力によってUnixやMac、Widowsなどほとんどの
プラットホームに移植され海外のユーザーにもひろく認知されている。
 Windowsの世界ではZIP形式とLZH形式が事実上の標準となっている。
ZIPは有料であるのに対して、LHAはフリーソフトとしてソースコードも公開
され、広く利用されている。
 このように最初は一人又は少人数で行ったソフトウェアの開発をネットワー
ク(当時はパソコン通信がスタートしたばかりの環境的には最悪の時代)に無
名の多くの人が参加することで、改良改善をしながらLHAを発展させてきた
力というのはこれからの時代を暗示しているのかもしれない。
 Windows全盛時代、ソースコードには完璧な権利を主張し、オープン化はしな
いでインターフェースのみを開示しているWindowsのOS、MacのOS、イン
テルのペンティアム、利用者にとってはブラックボックスを含んだ気持ちの悪い
システムという一つの世界(商売のやり方)ともう一方、LHAと同様にLinux
、TORONのOSのようにソースコードもオープンにしてに有名、無名を問わない
ソフト開発者に開示しているやり方。この二つの流れを見てみると一つの社会の
縮図的なものを見る思いがする。商売第一、儲ければいい、そのためには完璧秘
密主義、もう一方「開発すること、みんなに喜んで貰うこと」に喜びを覚えるタ
イプ。どちらが良いか悪いかという判断は即できないけれど、非常に面白い動き
が出てきていることに注目してみたい。
 例えば主婦が「私の肉じゃがの作り方」を披露する。それをホームページで見
てまねをして作ってみる。それが美味しい肉じゃがだったとするとその人はメー
ル、掲示板で作った感想を書き込む。披露した主婦はその感想によってまた別の
得意料理を披露する。そんなことが簡単に誰でも出来る時代、Only Oneの価値
が見えてくる時代が到来している。それはオープン化することによって加速され
てくるのではないかと思う。