書名:豆腐屋の四季 ある青春の記録
著者:松下 竜一
発行所:講談社
発行年月日:2009/10/9
ページ:363頁
定価:1600円+税
「泥のごとできそこないし豆腐を投げ怒れる夜のまだあけざらん」零細な稼業の豆腐屋を継いだ、病弱で貧乏で大学にも行けずに、この体を酷使しながら豆腐屋の労働に励む。青春と呼ぶにはあまりにも惨めな生活の中から紡ぎ出す和歌、これを朝日花壇に投稿しながら日々の暮らしに追われ、今日を生きる一人の生き様、青春を日々綴った詩。どこまでもやさしい、やさしさが伝わってくる本です。
仏教にお布施というのがありますが、その中に「無財の七施」、貧乏で何も施すものがなくても7つのお布施があるという教えです。著者はその中の『眼施』を目指します。『眼施』とは”「目は口ほどにものを言い」とも、「目は心の窓」とも言います。目はストレートにその人を表眼します。感謝、愛情の目は、人に対して大きな施しとなります。”
1960年代の作者の生きた軌跡を追う人が多く、この本も再刊された。この「豆腐屋の四季」はテレビの番組にもなり、古い人は知っているかもしれない。