書名:本はどのように消えてゆくのか
著者:津野 海太郎
出版社:晶文社
発行年月日:1996-2-20
定価:1845円+税
紙と活字の本はなくなるのか?みなさんどうおもいますか?
この本は小学校時代、ガリ版による新聞を発行、出版社で単行本づくり
、雑誌、ミニコミ誌、DTP新聞などの編集にたずさってきた著者が今
までの印刷技術と本作りの歴史を追いながら自ら経験してきたワープロ
、MACコンピュータとの出会い、DTP、パソコン通信との関わり、
インターネット、ホームページ、HTMLなどを通して今後のトレンド
しての本というものを考察している。体験に共有する部分も多い気がし
た。また今のマルチメディアの進展に同じ様なことを感じている人がい
たという気にもさせられた。
大手パソコン通信の会議室(フォーラム)で不特定多数の人たちを相手
に心ゆくまで対話的にふるまえたという経験がない。もちろんおしゃべ
りとか簡単な情報の交換ぐらいのことはできる。でもそんな程度で対話
的というのはおこがましかろう。そう思ってちょっと本気で関わろうと
すると、必ず失敗する、なんというか、しつこくなりすぎてしまうので
ある。
書くことは、多かれ少なかれ、私の考えはそれ(たとえば相手の観点)
とは違う、と切り分けていく面をもつ。つまり書くことは必ずいくばく
かの切断的(批判的、批評的)な見解を含んでしまう。私もそうだし、
顔の見えない相手の側もそう。その種の切断に、いちいち過剰に傷つい
ていては話がさきに進まない。と頭では思っていてもどうしても多少は
傷ついてしまう。そうなると、お返しに自分が負った傷以上のものを相
手に負わせたくなる。特に意識せずとも、そうしてしまっている。
活字メディアであれば、批判するものと批判されるものとの間には時
間的、空間的な距離がある。ちょっときついことを書いても、また書か
れてもその距離の中で、自分が負った傷、相手に負わせた傷、このさき
どう処理してゆくかをゆっくり考えることができる、その意味で活字メ
ディアは切断につよい。
(本書71~72ページ)
これは非常に本質的な事かもしれないという気がする。みなさんはど
う思いますか?