投稿者 スレッド: わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか  (参照数 441 回)

admin

  • Administrator
  • Hero Member
  • *****
  • 投稿: 58829
    • プロフィールを見る
わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:33:59 pm »
書名:わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか
著者:ロバート・L・バーク
訳者:栗木さつき
発行所:主婦の友社
発行日:2007/10/31
価格:1,000円+税

本書によると「ニセ科学の本は、その仮面をはごうする正統科学のほんより、
はるかによく売れる」とのこと、したがって多分この本はまず売れない本でし
ょう。
昔から科学、化学は錬金術など本書で言うところの「邪悪な科学」と正統科学
の見分けが非常に難しいものです。本書では今までの「邪悪な科学」の例を上
げて詳細に説明しています。
 例えば常温核融合、地球温暖化論争、超越瞑想(TM)、永久機関、ビタミン0、
宇宙ステーションの夢、電磁波が白血病の原因というデマ、UFO、エイリアン
最近ではスターウォーズ計画、架空のX線レーダーなどどうなってきたかを説
明しています。

「邪悪な科学」と正統科学の見分け方についは下記にランダムに上げておきま
す。
--------------本書より---------------
ブードゥー・サイエンス(邪悪な科学)
「病的科学」科学者が自分で自分を騙す科学
「ジャンク科学」司法関係者の科学の知識が浅いことにつけこみ、集団訴訟で
企業を食い物にする。(集団訴訟科学)
「ニセ科学」詐欺で金儲けをたくらむ(詐欺科学)

地球温暖化論争は「科学論争」ではなく、「人間の価値観の論争」
3万年前と同じ「信じたがる脳」
何かを信じようとする行為と、それらを捨て去る行為を比べれば信じようとす
る行為の方がはるかに強い。こうして人は両親や地域共同体が信じていたもの
を大体そのまま受け入れて育つ。
「潮の干満は月相と関連している」という事実を冷静に理解する脳が「星の位
置と戦況には関係があるとありもしないパターンを勝手に上げ、占星術を信じ
込む場合がある。

「科学は、万物に関する知識を収集し、系統だて、検査や分析が可能な法則や
理論に要約する。規律正しい大事業である」生物学者E・Oウィルソン
・実験を再現し、検証が出来るか?
・それによって、以前より万物の予測がたつようになるか?
この2つの問いにたいする答えがどちらか一方がノーであったらそれは科学で
はない。

信頼される科学とは
1.自分の新しい考えや実験結果をすべて公開し、ほかの科学者に自由に実験
を再現して貰う
2.自分の考えや実験結果より完璧なあるいはより信頼がおけるものがほかに
あれば自説と照らし合わせ、いさぎよく自説を放棄したり、修正したりする。

一般の人たちが科学の最前線の知識を全て理解するのは無理であるし、またそ
の必要もない。科学的な世界観として一般の人が持つべき知識は基本的な考え
方で充分である。すなわち「我々は秩序ある世界に暮らし、回避することの出
来ない物理学の法則に支配されている」という事実だけは理解して貰いたい。
教訓
ある理論がどれほどもっともらしく聞こえても、最後の断を下すのは実験であ
る」

ニセ科学の本は、その仮面をはごうする正統科学のほんより、はるかによく売
れる

「われわれは自然法則に支配された世界に暮らしており、魔法はけっして起こ
らない」
-----------------------------------
--
結論から言えば
教訓
「ある理論がどれほどもっともらしく聞こえても、最後の断を下すのは実験で
ある」
でしょうね。例えば今盛んに騒がれている地球温暖化にしても、本当に温暖化
が進行しているという確たる証拠は見つかっていない。(NASAのデータ等々を
分析して温暖化が進行しているらしいと推定している。実験室の中の温度シュ
ミレーションなどでも0.5℃の精度で行うことは困難。地球規模のシュミレー
ションは当然相当アバウトな事しかできていないのも事実)また原因はCO2と
いう事になっている。排出CO2が70億トン、地球上の植物が吸収する量が3
0億トン、したがって削減しないといけない。でも温暖化の原因をCO2と決め
打ちして良いという理論的裏付けは出ていないのも事実です。ただ結論が出な
いから今のままでい良いかというと環境のような問題は後の祭りになる恐れが
あります。だから今、推定かも知れないけれど原因として考えられるCO2を削
減しましょうということになりますね。(それを全ての敵はCO2だとヒステリ
ックになっているのはちょっと問題ですね)
 というような事を自分の頭で少し考えるための指針を与えてくれる好著だと
思う。でも結構難しい(著者は科学者、そして読者に分かりやすいように書い
たと言っているが)ので誰にでも読んでみて下さいと進められない本だと思い
ます。(それでも読んでみたいと言う人は是非)
 3万年前と同じ「信じたがる脳」といかに付き合っていくか、これがブード
ゥー・サイエンス(邪悪な科学)に翻弄されない秘訣ではないでしょうか。画
期的な発明、統計でしか論理構成できないような学説はまず疑いましょう。科
学技術は進んでいますが、まだまだ分からない事の方が多いということを肝に
銘じておきたいと思いました。