投稿者 スレッド: いつまでバグを買わされるのか 平気で欠陥商品を売る業界の内幕  (参照数 484 回)

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書名:いつまでバグを買わされるのか
   平気で欠陥商品を売る業界の内幕
著者:マーク・ミナシ 
訳者:植木不等式
出版社:ダイヤモンド社
発行年月日:2000-9-28
価格:2300円+税
ページ:346P

「読書許諾契約書」
お客様には本書を使うライセンスが許諾されています。
お客様は本書を購入したのではありません。本書を開くことでお客様は本ラ
イセンスの条項に同意したことになります。
・本書を読むことが出来るのはただの一人だけです。
・本書を読了された後も、本ライセンスの有効期限内ならば、お客様は要望
 により本書を何度でも読むことができます。
・いかなる状況においても、本書を他人に貸与したり、再び販売したり、他
 の個人ないし図書館に寄贈してはなりません。
・本ライセンスは本ライセンスご購入の180日後に失効します。本ライセ
 ンスが失効した後には、お客様は本書を廃棄するか、または貴重な地球資
 源の保護及びリサイクルのために本書を本書を出版社に返却するか、いず
 れかをご選択いただけます。

 これはもちろん冗談です。しかし同じようなことを大真面目に、そして強
制的に押しつけてくる業界もあります。そういうものだよと簡単に納得して
はいけませんよ。
(本書 表紙カバーより)

欠陥、不具合、自分の技術のなさをバグという何となくソフトな言葉でいわ
れてしまうと止む得ないものだと思ってしまう感覚。普通の業界だとすぐに
欠陥商品として全数回収、正常な商品との交換が当たり前。ところがコンピ
ュータソフト業界にはそんなことは考えられない。「バグ」の一言でお終い
そして「仕様」と言い切ってしまう厚かましさ。こういうことは異常なこと
1日に何回もハングアップして、8時間もかけて作った文書も一瞬に消えて
しまっても誰も保証してくれない。また損害賠償も要求しない。

 自動車に使われている燃料噴射のための制御用コンピュータソフト、携帯
電話のソフトウェア、宇宙ロケット、通信衛星のソフトウェア等万が一にも
ハングアップが許されない世界。しかしパソコンのソフトウェアは信頼性と
い概念すらない。そして100万行を超えるようなソフトウェアのコードで
成り立っている。それをノーミスでコードなど書けるわけがない。したがっ
てバグは偶然ではなく必然と。

 そんな世界に疑問を提示してくれる書である。また普通の人にも判るよう
に非常に優しい言葉で説明してくれる。ソフトウェアの許諾契約書の不思議
、先に引用したようにソフトウェアを書籍に置き換えて書くと全く滑稽なも
のがまかり通っていることが判る。
 バグのないソフトウェアは作ることが出来る、ただ今までユーザが要求し
てこなかっただけ、要求するためのノウハウも詳しく教えてくれる。
 今までの不思議な業界から普通の業界に脱皮しないとアメリカのソフトウ
ェア業界の危機が迫っていることを事例を示しながら説明してくれる。
 これは名著である。是非とも読んでもらいたい本である。