投稿者 スレッド: 国民の歴史  (参照数 1187 回)

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国民の歴史
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:09:09 pm »
書名:国民の歴史
著者:西尾幹二
発行所:産経新聞社
発行年月日:1999/10/30
定価:1,905+税

770ページにもなる大著です。「魏志倭人伝」から日本の歴史を考えるな?
今までの歴史学者は文献に書いてあること、文献があることが証拠としてのみ
考えてこなかった。中国の歴史書に書いてあることが正しいこと。これを少し
も疑ってこなかったのでは?「魏志倭人伝」の解釈での邪馬台国論争、魏志倭
人伝には間違いが一杯ある。聞いた話、作った話も混じっているいい加減なも
のとして考えるともっと柔軟な発想になるのではないか?

稗田アレが口述したものを記録したといわれる「古事記」は神話でいかさまば
かりと信じられているが、魏志倭人伝も同じ程度の資料にすぎない。それを信
じて邪馬台国は?卑弥呼は?というのはおかしいのではないかと指摘している。
もっと素直に、文字以前の時代からの、記録として残っていない時代から継続
している歴史を考えるべきではないかと提案している。

中国の歴史書はその時その時の政権にとって都合の良いことしか書いてない書
物。したがってそれを鵜呑みにする事はできない。中国も4000年の歴史と
言いながら、唐の時代以降は違う民族が次々と征服してきた歴史を持っている。
日本では菅原道真が落ち目の唐からはもう得るものはないと遣唐使を廃止して
後、中国とは距離を置いてつき合っている。日本独自の文化、思想が育ってい
る。朝鮮は大国中国の属国として日韓併合まで続いてきた歴史を持っている。
これは日本海という障壁を持っていた日本と陸続きだった朝鮮の地政学的な違
い。公的な文章は漢語、ハングルは下流の人達の言葉、両班(ヤンパン=文官
、武官)と一般の人の間の差別意識。(これは儒教の影響も受けている。)
両班以外は人間ではない(凄い身分差別)という実態も知っておく必要がる。

今までの歴史書では見られない発想、解釈の仕方が紹介されいる。特に面白い
と思ったのは実はモンゴル帝国は実は中国の国ではなく、モンゴルが中東、ヨ
ーロッパまで版図と拡大した帝国であった。モンゴルが中国を占領してしまっ
た。という見方が自然では??

 徳川時代の鎖国という言葉、実は幕末の時期まで鎖国という言葉は出てきて
いない。徳川時代初期にキリスト教という宗教の中に潜む侵略的な暴力に気が
付いてスペイン、ポルトガルとは交易を禁止した。しかしそれ以外の国とは交
易をしているし、世界の情報自由に手に入れていた。だから幕末から維新の時
代を乗り切れた。

 中国、韓国に謝罪ばかりして政府。世界の常識は過去のことを自分の責任と
考えないこと。「原爆、無差別爆弾でアメリカは絶対日本に謝罪しない」集団
の責任は賠償金で解決するもの。従って現在に生きる世代が過去の日本人の責
任を自分の責任として謝罪、反省する必要はない。謝罪、反省で現実の問題は
解決出来ない。それを知っているからアメリカは絶対原爆を落としたことに対
しても謝罪しない。過去の問題を現状の考え方で裁くことをしてはいけない。
ナチスのホロコーストの責任を今のドイツ人に求めてしまったら、ドイツ人は
消えて無くなるしか手は無いことになってしまう。

「自国の悪を隠して言わないのが教科書だ」山本夏彦
例え悪いことがあっても子どもには良いことを選んで教えておくべき。大人に
なれば判ってくる。その前に変な正義感、正直さが結局おかしな大人と作って
しまう。
ちょっと長い本ですが、こんな考え方があるのだと言う意味で読んでみるのも
一興かなと思います。

実は「魏志倭人伝」から日本の歴史を考えるなは日下公人、竹村健一、渡辺昇一
の対談集「僕らはそう考えない」を読んでいたとき知ったこと。ようやく読むこ
とが出来ました。

書名:僕らはそう考えない
著者:日下公人、竹村健一、渡辺昇一
発行所:太陽企画出版
発行年月日:2000/08/10
定価:1,500+税