投稿者 スレッド: 大川わたり  (参照数 329 回)

admin

  • Administrator
  • Hero Member
  • *****
  • 投稿: 59141
    • プロフィールを見る
大川わたり
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:17:38 pm »
書名:大川わたり
著者:山本 一力
発行所:祥伝社
発行年月日:2002/1/30
ページ:300頁
定価:1700 円+ 税

 ちょっとした失意がもとで、賭場でど素人の若い流しの大工銀次が、わずか半
年で20両もの借りを作ってしまう。賭場を仕切る猪之介から綺麗に返すまで住み
慣れた深川から追放され、大川から一歩でも入ってきたら殺すと宣告される。そ
こで心機一転して立ち直りを決意。町道場で心身を鍛え、読み書きを習い呉服商
の大店の手代になる。顧客の評判もよく、主人にも信用されるが、順風満帆とは
いかない。男社会のねたみ、そねみ、そして奸計。気がつくと重大な危機に!

 一力の小説は人間を旨く描いている。読むとすぐその世界に引き込まれてしま
う。第三者的な記述ではなく、作中の人物がそれぞれ生き生きと描かれている。
生きている。やくざはやくざなりに、商人は商人なりに。人の生きる道をしっか
りと示している。どうしょうもない人間もやっぱり脇をしっかりと固めている。