書名:銭売り賽蔵
著者:山本 一力
発行所:集英社
発行年月日:2007/12/20
ページ:471頁
定価:667円+税
この本を読んだのは2回目になります。
江戸時代の貨幣の中で金、銀は金座、銀座で作って公儀が発行するが、町民の間で使われる文銭は、民間の銭座が製作して売り出す。江戸庶民にとっては金貨、銀貨はあまりにも大きすぎて普段使うお金としては使えない。そこで銭売りという商売が成り立つ。
銭座から文銭を買って庶民に売る。深川の銭座から文銭を購入して銭売りを行っている賽蔵。深川の人情と人と人の繋がり、思いやりの心、江戸の人情が心を温める作品。亀戸にあらたに銭座が開かれることになった。役人の後ろ添えもあり、権力を盾にあらゆる手を使い、深川に食い込もうとする亀戸銭座。真面目に得意先に対応してきた賽蔵、そしてその気概に応える大店の主人や仲間たちは?
デビュー作「あかね空」と商売は違うがやっぱり江戸の下町の人々の物語、そして料理、心意気などどちらかというとハッピーエンドの物語。読んでいて明るくなる話題がおおい。また著者は経済にも造詣が深いので銭、金銀貨の仕組みの説明も判りやすい。今の世の中では決してない世界、江戸の古き良き時代を彷彿とさせる描き方です。