書名:珍妃の井戸
著者:浅田 次郎
発行所:講談社
発行年月日:1997/12/10
ページ:318頁
定価:1600円+税
前作の『蒼穹の昴』の続編という位置づけの本です。清朝末期の中国は列強諸に蹂躙され荒廃した。そんな混乱の中で皇帝の寵愛を一身に受けた美しい珍妃は誰に殺されたか?これを2年後、エドモンド・ソールスベリー(英),ヘルベルト・フォン・シュミット(独),セルゲイ・ペトロヴィッチ(露),松平忠永(日)の4人の貴族は,関係者への聞取調査を行い,真相を探ろうとした。美しき妃はなぜ誰に殺された?
光緒帝は,1898年,康有為・梁文秀らとともに戊戌(ぼじゅつ)の変革を断行するが,わずか100日で西太后により実権を奪われ,愛妃・珍妃と別々に幽閉されることとなった。
1900年,義和団事変が発生。列強軍隊が北京に侵入する直前,西太后・光緒帝らは西安に逃れるが,紫禁城内の冷宮(監獄)に幽閉されていた珍妃は変死した。
関係した人々(生き残った)を一人一人聞き取り調査するという方法で真相に迫る。そしてあまりにも切ない事実とは?後生極悪人とされている西太后でも本当の姿は?満州の女真族が明を滅ぼして清朝を起こす、そして中国の歴史で一番版図が広くなった王朝(乾隆帝)、そして世界で一番先進国だった清国の滅亡にまつわる話をベースにノンフィクションを混ぜながら、面白い物語に仕上がっている。