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59146
本に出会う / エンデの遺言  
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:33:13 pm »
書名:エンデの遺言   
著者:河邑厚徳
出版社:NHK出版
発行年月日:2000-3-25
価格:1500円+税
ページ:P262

---------------------------------
世界を覆う金融システムとその上に乗って自己増殖しながら疾駆する「貨
幣」は、人間労働の成果と自然を含む価値の高い資源を、貧しい国から富
める国へと移す道具になっている。本来の役割を変えた貨幣は「利が利を
生むことを持って至上とするマネーとなった。この変質する貨幣の全体が
「エンデの遺言」に凝縮されている。エンデは予言している。
「今日のシステムの犠牲者は、第三世界の人々と自然にほかなりません。
このシステムが自ら機能するために、今後のそれらの人々と自然は容赦な
く搾取され続けるでしょう」

本書 プロローグ 内橋克人 より
---------------------------------
ミヒャエル・エンデ、問題の根源はお金にある。NHKで放送された「エ
ンデの遺言」の番組制作時取材で集めた情報をまとめた本である。
 普通の常識では経済は成長する年3%程度の成長は必要。お金には利子
がつく、全てプラスに指数関数的に増加していく。例え3%の成長であっ
ても20年50年の後には天文学的な数字になっていく。
 年間貨幣取引高は300兆ドルと言われている。地球上に存在する国々の国
内総生産(GDP)の総額は30兆ドル、同じく世界の輸出入高は8兆ドル、
実際の経済に必要なお金の約10倍のお金が、世界に出回っていることにな
る。この部分が、金融システムの中でお金がお金を稼ぐというように回っ
ている。したがって実際の経済に回るお金より、この金融システムで投資
、投機、賭博的な動きによって世界の景気が決まってしまう。強者はます
ます強くなり、弱者はますます弱くなるそんなシステムになっている。
 エンデの言わんとするところは、お金とは何か?きっちりした定義が出
来ていない。またお金は持てば持つほど価値が下がる。という考え方、貯
蓄をして無限の期間保有しても価値が上がるのではなく、逆に持てば持つ
ほど価値が下がってくるものとして、いかに早く期限切れにならないうち
に使ってしまう。そうすることによって回転する回数が多くなる。これに
よって景気は悪くならない。不況になればなるほど、私蔵するする人が増
えて市中にお金が回らなくなる、お金の流通が阻害される。心筋梗塞と一
緒でどこかで血管が破裂するということを今までの経済は繰り返してきた。

 いま価値の下がるお金という考え方が、地域貨幣、地域通貨とよばれる
運動によって少しずつ広まっている。地域通貨を考える上でこの本はバイ
ブルになる本だと思う。
 たった262ページの本ではあるけれど読むのに苦労した。行きつ戻り
つの繰り返しで時間が掛かってしまった。また今までの経済学の常識とは
全く逆の思想、なかなか取っつきにくいところがある。何回か読み返して
みないと理解できないところがあると思う。
 とは言え、目から鱗が落ちる考え方だと思う。

ところでこの本と同じNHK出版から出ている本ですが、「ソフィーの世
界」が以前ベストセラーとして一斉を風靡したことがありますが、最初大
手出版社に「ソフィーの世界」の出版の話が会ったとき、全く売れない、
売れるわけはないということで断られて、NHK出版に持ち込まれたとの
こと。中身の善し悪しは別としてベストセラーになっている。

「エンデの遺言」こんな本もやっぱり他の出版社ではやっぱり出版
されなかったのではないかと思う。

59147
本に出会う / すぐに未来予測ができるようになる62の法則
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:32:38 pm »
書名:すぐに未来予測ができるようになる62の法則
著者:日下公人
出版社:PHP研究所
発行年月日:2002-3-20
価格:1400円+税

久々に本を買ってみました。というのは日下公人氏の講演を聴いて
「新文化産業論」(日本長期信用銀行・調査部長当時)を読んだと
き以来のファンで、彼の本は余さず買っています。久しぶりに新し
い本ということでまた買ってみました。

ちょっとメモ書き(この本の中に書かれているもの)

世の中に新しい商品が出てきて、普及するまでの課程を表す法則
として5種類の人間の法則、普及率の法則(最初はモードと呼ば
れファッションとして大衆化、スタイルとして定着、最後は礼服
となるとの事

「5種類の人間」の法則
                         普及率の法則
イノベーター              2.5%     モード
(挑戦者、革新者)

アーリー・アダプター          15.3%         ファッション
(オピニオン・リーダー、初期採用者)

フォロワー(大衆)           68%      スタイル
 アーリー・マジョリティー      (34%)
 (初期多数者)
 レイト・マジョリティー       (34%)
 (後期多数者)
ラガード                16%      礼服 

貧乏経済から豊かになる課程で人々のこだわる物が変わってくる法則

5感の「順番」の法則
 1.視覚
 2.聴覚
 3.味覚
 4.臭覚
 5.触覚

生物の進化の法則と上記の法則は逆の動きをする。
5感の進化
 触覚→臭覚→味覚→聴覚→視覚

これからの世界は下記の七大潮流に向かうと予測している。

これが世界の七大潮流(21世紀の)
1.大衆消費社会へ世界は進む
2.中流社会は進む
3.大都市化へ世界は進む
4.平和へ世界は進む(国家より民族、軍事より経済)
5.少子高齢化へ世界は進む
6.東洋風へ思想革命が進む
7.多民族共存と人権平等へ世界は進む

上記をじっくり観察すると実は日本の今まで歩んでいる方向、
不景気だと悲観するのではなくこれからは日本の時代に世界が向かうと
自身を持って進めという事なのか?

お勧めの本です。目から鱗が落ちる本(日下公人の本はいずれも言える
と思いますが)です。私だけかもしれませんが。興味有る方はどうぞ。

59148
本に出会う / ビットバレーの鼓動
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:31:59 pm »
書名:ビットバレーの鼓動
著者:荒井 久
出版社:日経BP企画
発行年月日:2000-3-9
価格:1600円+税

「渋谷から世界へ、若きe-ベンチャーが日本を救う」
渋谷周辺に本拠を構える若きネットビジネス関連の起業家集団がブ
レイクしている。今渋谷で起きているベンチャー企業の実体を捉え
たレポートです。
1.総合サービス系
  ネットイヤーグループ 小池聡 氏
  ネットエイジ     西川潔 氏
  ネオテニー      伊藤穣一 氏
  インディゴ      孫泰蔵 氏
  オン・ザ・エッジ   堀江貴文 氏
  ガリレオゼスト    池田順一 氏
  イエルネット     本間毅 氏
2.インフラ系ネットベンチャー
  デジタルプリント   江端浩人 氏
  インターキュー    熊谷正寿 氏
  リキッドオーディオジャパン 大神田正文氏
  ソフトフロント    村田利文 氏
  オープンループ    浅田一憲 氏
3.運用サービス系
  スリープロ      高野研 氏
  バックオフィス    西村嘉騎 氏
  ピー・アイ・エム   松本真尚 氏
  ウェブクルー     渡辺久統 氏
  電脳隊        川邊健太郎 氏
  インターネット総合研究所 藤原洋 氏
4.コンテンツ系
  デジタルハリウッド  杉山知之 氏
  トライコーン     波木井卓 氏
  サイバード      堀主知ロバート氏
  東京サイバースペース 篠田示承 氏
  ビスシーク      小澤隆生 氏
  トップページ・プロジェクト 大西浩史氏
  ネクスト       井上高志 氏
  トライフォース    森博臣 氏
  クリセントライト   田代昌裕 氏
  イー・マーキュリー  笠原健治 氏
5.コミュニティ系
  楽天         三木谷浩史 氏
  カルチャア。コンビニエンス・クラブ 増田宗昭 氏
  eグループ       大山彰久 氏
  ガイアックス     上田祐司 氏
  ティーギャラクシー・ドット・コム 久米信行 氏
  コミュニケーションオンライン 小林祐介 氏
  ジョブウェブ     佐藤孝治 氏
  ガーラ        村本理恵子 氏
  エヌシーネットワーク 内原康雄 氏
6.広告・マーケット系
  サイバーエージェント 藤田晋 氏
  メールニュース    才式祐久 氏
  アクシブ ドットコム 尾関茂雄 氏
  メンバーズ      剣持忠 氏
  サイバーアソシエイツ 中島毅雄 氏
  リンクメディア    テリー・ロイド 氏
[Bit Valley]の42人の起業家達を紹介しているネットビジネスの中で、ど
れだけの人が生き残るか?今は海の物とも山野とも判らないところがあるが、
何年か後には上記の中からネットビジネスの中心となっている人も出てくる
のではないかと思う。現在の閉塞感のある世の中で、非常に爽やかな若者た
ちのチャレンジを感じる。  
 失敗しても良いじゃないか?精一杯チャレンジして欲しいという気がした。

59149
本に出会う / 序の舞
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:31:12 pm »
書名:序の舞(上)
著者:宮尾登美子
出版社:朝日新聞社
発行年月日:1983-3-10
価格:1200円+税
ページ:375P

書名:序の舞(下)
著者:宮尾登美子
出版社:朝日新聞社
発行年月日:1983-3-20
価格:1200円+税
ページ:321P

女性の一生を描くのには定評のある宮尾登美子の作品。明治時代に生きた
女二代の物語。本の中では島村松翠(津也)として登場しているが、女流
画家・上村松園の一生を描いている。男尊女卑の激しい時代女が、絵を描
いて生活していくという常識はずれのことをやり遂げた島村松翠、その影
に大きな大きな力として君臨していたのが母勢以(せい)。お茶を売る商
売をしながら、女で一つで二人の娘を育てた。女流画家として島村松翠が
絵で生活が出来るようになるまでの壮絶な闘いを描いている。

京の通り唄
(東西の通り)
丸竹戎二押小池(まるたけえびすにおしおいけ)
姉三六角蛸錦 (あねさんろっかくたこにしき)
四綾仏高松万五条(しあやぶつたかまつまんごじょ)

とは
丸太町、竹尾町、夷川、二条、押小路、小池、姉小路、三条、六角、蛸薬
師、錦小路、四条、綾小路、仏光寺、高辻、松原、万寿寺、五条のこと。

(南北の通り)
寺町御幸麩屋富柳(てらまちごこうふやとみやなぎ)
堺高間東車   (さかいたかあいだひがしくるま)
烏丸両替室衣  (からすまりょうがえむろごろも)
新釜西小川   (しんかまにしおかわ)
油醒ヶ井堀川の水(あぶらさめがいほりかわのみず)

とは
寺町、御幸町、麩屋町、富小路、柳馬場、堺町、高倉、間之町、東洞院 
車屋町、烏丸、両替町、室町、衣棚、新町、釜座、西洞院、小川、油小路
、醒ヶ井、堀川のこと。

子供の頃から東西の通りについてよく聞いていたので覚えていたが、南北
は殆ど覚えていない。今では地名が変わっているところもあるが、碁盤の
目の様な京都ならではの通り唄。この作品の中に入っていた。懐かしく読
んだ。

59150
本に出会う / 「大學」はご臨終。
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:30:36 pm »
書名:「大學」はご臨終。
著者:大磯正美
出版社:徳間書店
発行年月日:1996-9-30
価格:1262円+税
ページ:221P

大學、大学生について書いている非常にユニークな本。一読の価値有り。

大学という業界
会社数1170社 (大学570、短大600)
基幹社員 16万人(教授、助教授、講師、助手)
     20万人(職員、関連)
市場 310万人(学生数)
市場規模 6兆円

 御神輿の2・6・2理論
御輿を担ぐ人2割、御輿にさわっているだけの人6割、
御輿にぶら下がっている人2割

 働き蜂 2・8(にっぱち)説
一生懸命働く人が2割、利益の8割をその人たちが稼ぐ。

59151
本に出会う / ブックオフと出版業界
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:30:04 pm »
書名:ブックオフと出版業界
   ブックオフ・ビジネスの実像
著者:小田光雄
出版社:ぱる出版社
発行年月日:2000-6-26
価格:1800円+税
ページ:222P

なぜ、書店が消え、ブックオフだけが増えるのか?こんな疑問に答え
てくれる本である。

書名:だれが「本」を殺すのか
著者:佐野眞一

に比べて格段に業界事情、本屋、本についての情報が濃い本である。
また全体で200ページ前後で非常に良くまとまっている。前著「出版社
と書店はいかにして消えていくのか・・近代出版流通システムの終焉・・
につづく第二弾である。

本の中身ではなく、また出版業界の革命でもなくブックオフの商売の
仕方はフランチャイズチェーン店をいかに増やすか?この増やすこと
で利益を出していくやり方。「新しい」「美しい」ということだけが
本の質の見分け方。アルバイトにでも本の査定が可能。定価の10%
で買い入れ、定価の50%で販売、粗利益率75%を売りにしてフラ
ンチャイズ店を増やしていく商法。ある時点で伸びが止まる時がブッ
クオフ消えて無くなる日。そんな日もいつかは来るのではないか?
 古本屋という範疇ではないブックオフを分析している。なかなか面
白い視点であると思う。
 粗利益率75%というキーワードで新聞をはじめとするマスコミ、
広告で拡大してきたブックオフの今後を注目してみたい。
既存の再販制、委託制、全国一律同一料金、定価制の隙間を利用した
中古リサイクルショップブックオフ、最近益々買いたくなるような本
がおいていないような気がするブックオフ。今後どうなっていくか?
興味あるところである。

59152
書名:いつまでバグを買わされるのか
   平気で欠陥商品を売る業界の内幕
著者:マーク・ミナシ 
訳者:植木不等式
出版社:ダイヤモンド社
発行年月日:2000-9-28
価格:2300円+税
ページ:346P

「読書許諾契約書」
お客様には本書を使うライセンスが許諾されています。
お客様は本書を購入したのではありません。本書を開くことでお客様は本ラ
イセンスの条項に同意したことになります。
・本書を読むことが出来るのはただの一人だけです。
・本書を読了された後も、本ライセンスの有効期限内ならば、お客様は要望
 により本書を何度でも読むことができます。
・いかなる状況においても、本書を他人に貸与したり、再び販売したり、他
 の個人ないし図書館に寄贈してはなりません。
・本ライセンスは本ライセンスご購入の180日後に失効します。本ライセ
 ンスが失効した後には、お客様は本書を廃棄するか、または貴重な地球資
 源の保護及びリサイクルのために本書を本書を出版社に返却するか、いず
 れかをご選択いただけます。

 これはもちろん冗談です。しかし同じようなことを大真面目に、そして強
制的に押しつけてくる業界もあります。そういうものだよと簡単に納得して
はいけませんよ。
(本書 表紙カバーより)

欠陥、不具合、自分の技術のなさをバグという何となくソフトな言葉でいわ
れてしまうと止む得ないものだと思ってしまう感覚。普通の業界だとすぐに
欠陥商品として全数回収、正常な商品との交換が当たり前。ところがコンピ
ュータソフト業界にはそんなことは考えられない。「バグ」の一言でお終い
そして「仕様」と言い切ってしまう厚かましさ。こういうことは異常なこと
1日に何回もハングアップして、8時間もかけて作った文書も一瞬に消えて
しまっても誰も保証してくれない。また損害賠償も要求しない。

 自動車に使われている燃料噴射のための制御用コンピュータソフト、携帯
電話のソフトウェア、宇宙ロケット、通信衛星のソフトウェア等万が一にも
ハングアップが許されない世界。しかしパソコンのソフトウェアは信頼性と
い概念すらない。そして100万行を超えるようなソフトウェアのコードで
成り立っている。それをノーミスでコードなど書けるわけがない。したがっ
てバグは偶然ではなく必然と。

 そんな世界に疑問を提示してくれる書である。また普通の人にも判るよう
に非常に優しい言葉で説明してくれる。ソフトウェアの許諾契約書の不思議
、先に引用したようにソフトウェアを書籍に置き換えて書くと全く滑稽なも
のがまかり通っていることが判る。
 バグのないソフトウェアは作ることが出来る、ただ今までユーザが要求し
てこなかっただけ、要求するためのノウハウも詳しく教えてくれる。
 今までの不思議な業界から普通の業界に脱皮しないとアメリカのソフトウ
ェア業界の危機が迫っていることを事例を示しながら説明してくれる。
 これは名著である。是非とも読んでもらいたい本である。

59153
本に出会う / だれが「本」を殺すのか
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:28:42 pm »
書名:だれが「本」を殺すのか
著者:佐野眞一
出版社:プレジゼント社
発行年月日:2001-3-4
価格:1800円+税
ページ:461P

佐野眞一、1969年大学卒業後出版社に入社。「原色怪獣怪人大百科」と
言う本を作ったのが初仕事とか?
 本の制作から作家へとの経験をもとに「本」はどこから来て、今どこ
にいて、将来何処へいくのか?を問うている本である。

(2000年)
取り次ぎルートを経由した出版物の推定販売額 2兆3900億円
(書籍・雑誌)
書籍のみ                    8956億円

4年連続前年度割れ

書籍新刊出版点数 67000点
書籍推定発行部数 13億2千万部
返品率      39.5%
返品数       5億2千万部

という現状、出版不況と言われる現状分析と、出版業界の新しい試み
インターネット書店の動向など佐野眞一の特長としているこまめな取
材。100人以上の関係者にインタビューと労作である。
 惜しむらくは論理的な構成になっていないので、全体を読んでも良
く言いたいことが判らないという感じがしないでもない。
 これは佐野眞一の作品に共通するような気がします。足でかく、努
力は凄い物があるが、まとめ方が上手いともっともっと良い作品にな
るような気がする。461ページを半分以下の200ページ位にすっ
きりとまとめてくれると有り難い。
 著者はその点不器用な人かもしれない。

59154
書名:図解電脳ネット犯罪撃退マニュアル
   アダルトWeb、アイドルコラージュからハッカー、ウィルスまで
著者:藤田悟
出版社:同文書院
発行年月日:1999-3-16
価格:1300円+税
ページ:218P

ネットワーク上で現実に起こっていることを題材にして、実際の事件、
判例などを交えて懇切丁寧に解説している。ちょっと知っているのと
知らないのではかなり違ったネットワークへの接し方が出来るように
思う。特に普段意識しない法律知識も意識させられてしまう。

-----------------------------
知らないではすまされない電脳犯罪と法律

・IDやパスワードの盗用・・無罪
・パスワードの売り買い・・無罪
・代理徴収のために他人名義で銀行口座を開設した場合
                   ・・有印私文書偽造罪
・電子メールの盗聴・・無罪
・他人のクレジットカード等の番号を不正に入手勝手に使用する
                 ・・・電子計算機使用詐欺罪
・他人のパスワードで商品を不正に購入した場合
                 ・・・電子計算機使用詐欺罪
・不正侵入してデータの改ざんや消去を行った場合
                 ・・・電磁的記録不正作出罪
・メール爆弾送付やウィルスに故意に感染させた場合
              ・・・電子計算機損害等業務妨害罪
・わいせつ画像や映像を不特定多数に見せた場合
              ・・・わいせつ物陳列罪
・わいせつ画像や映像をCD-ROM等に入れて販売した場合
              ・・・わいせつ図画販売罪
・わいせつ画像のモザイクを消すソフトを開発して販売した場合
              ・・・公然陳列幇助罪
・市販のソフトをコピーして不特定多数に配った場合
              ・・・著作権法違反
・電子掲示板等で相手を中傷した文を掲載
              ・・・名誉毀損罪
・知り合いの女性の実名や電話番号を電子掲示板に書き込んだ場合
              ・・・侮辱罪
・国内でインターネットでカジノを開設した場合
              ・・・賭博場開帳図利罪
・その客になった場合・・・・・・・賭博罪
・ホームページなどでパソコンを売ると掲示し代金のみ徴収しその
 ホームページを閉鎖した場合・・・詐欺罪
(本書211ページより)
--------------------------------  
上記の例を見て、あれーと驚かれた方もいるのでは?
実際と法律とのミスマッチがよく分かる例ではないかと思う。住基ネット
を考える上でも、法律の遅れ、人々の意識の遅れが判るのではないかと思
う。

59155
本に出会う / 日常茶飯事
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:27:10 pm »
書名:日常茶飯事
著者:山本夏彦
出版社:新潮社
発行年月日:2003/8/1
価格:438円+税

山本夏彦、非常にユニーク?いや毒弁の論者。世の中で起こることは原稿用紙
3枚で書きあらわせないことがない。と言っている。また山本夏彦ほどデビュ
ー当時から現在に至るまで、主義主張の一貫している人はない。(全く進歩が
無いのか???)
 この日常茶飯事も昭和30年代の作品である。ただ今読んでも十分通用する
ユニークさがある。現在の科学技術の進歩を暴挙、あるいは愚挙と切ってしま
う爽快さがある。また今まで行ってきた人間の営みを練りに練って考えていけ
ば50語でまとめることができると。共産主義も民主主義も、宗教も科学も、
この山本夏彦に掛かると同じになってしまう。いろいろな修飾語、形容詞をと
ってスリムにしていくと意外と本質は50語位なものかもしれないという気に
させてくれる。屁理屈の上に屁理屈と重ねて複雑怪奇にしているのかも。
 一言で言えばと言われたとき、その一言が出てこないが、ほとんど一言で終
わるのでは。
 読むたびに新しい発見のある楽しい本である。

(本書より引用)
-----------------------------------
スピードきちがい
交通機関の発達こそ、諸悪の根源だとかねて私は信じている、それについては
すでになん度か触れたから、ここでは手短に話す。
 かりに、東海道五十三次を、昔一ヶ月かかって旅したとする。それを旧式の
汽車が、一日に縮めたとする。新式が半日に、もっと新式が四時間に、さらに
ーーーーとくればこれはもう止めどがない。
 結局、東京大阪間の時間を人は「無」にしたいのである。四時間を二時間に
、二時間をゼロにするのが、進歩だ、科学だと小学生にまで教える位だもの、
教える当人は固く信じているに違いない。その点はソ連人もアメリカ人も同様
である。この二大国の思想は、ことごとに反対だといわれているが、根底は同
一だと私は見ている。
 東京大阪間の所要時間を、なぜ無に近くしたいのか、それは元来、我々の脳
ミソ中に「時間」が存在しないためだと、すでに私は巴里の恋人に譬えて話し
た。巴里も京都も同じ事だ。京都の人を思えばたちまち京都へ飛ぶ。ところが
肉体だけは東京に残るから、当人は怪訝だし、不本意だし、間違っていると思
うのは当然である。だから、誰しも、その時間を短縮しようとする。
 昔は自分の二本の足で、次いで馬や駕籠で、つまり他人の足で、走ったり、
走らせたりしたが、いくら急いでもたかは知れている。だから動物性の足の利
用はあきらめて、無機物からなるメカニズムを発明したのである。
 発明したのが運の尽きである。以来、それは速力のコンクールになった。人
類は競争するつもりでも、それが競争ならないことはいつぞや自動車を例に述
べた。一戸に一台はおろか、一人が一台を所有すれば生活のペース(足並み)
は自動車の速度と同じになる。歩いて一時間かかったところを、自動車で七分
としてみなさん七分で走れば、歩いた昔と同じで、発明しただけで損だと言っ
た。神々が天から覗いてみれば、近頃下界の人間どもは、何だかちょこまかが
歩いているよと曰う位が関の山だ。
 脳ミソの一とびに比べれば、弾丸列車ももの数ではない。さらばと、ジェッ
ト機やら、ロケットやらをこしらえて、再び進歩だ科学だ近代だと言うのはも
ういい加減にしてはどうか。

これを後ろ向きの意見だと笑う者があることは、承知している。交通機関の例
だけだは納得出来ないだろうから、これと表裏して発達した報道機関について
言う。
 報道機関のスピード狂の一方の旗頭である。すなわち、新聞はなりより迅速
を尊ぶ。昔四十七士の討ち入りは江戸中に知れ渡るには二、三日かかった。日
本中に知れ渡るには三月か半年かかった。近代のジャーナリズムは、その時間
を短くした。三月を三日に、三日を一日に縮めた。その競争ははげしく、A社
が夕刊で報じた事件を、B社が遅れて朝刊にのせれば、その責任を問われるほ
どだという。事件と報道の時間をむやみと短縮しようと争うのは、言うまでも
なくスピードきちがいである。

 中略

ジャーナリズムの理想は、事件に追いついて、それを追い越すことにある。た
とい短時間でも、そこに時間が介在すれば、どんな邪魔が入るか知れない。だ
から本当は事件の直前にその場にいたいのである。
 中略

私は古人も今人も、野次馬であることを否定するものではない。ただ赤穂浪士
の討ち入りは一ヶ月かかって承知してもいいと思うものである。元禄の昔の野
次馬の満足より、今日の野次馬の満足の方が、より満足だと思わないだけの話
である。そこに何の相違があるのか。 
 ロケットをとばし、怪電波をとばし、あらゆる速力を増すことを私は科学の
勝利、人類の壮挙とみない。かえって暴挙、あるいは愚挙とみている。
(p226-231)

59156
本に出会う / 禁煙ファシズムと戦う
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:22:18 pm »
書名:禁煙ファシズムと戦う
著者:小谷野敦(編者)斎藤貴男、栗原裕一郎(著)
発行所:KKベストセラーズ
発行日:2007/07/20
価格:850円+税

題名が示すとおり、健康増進法施行以降急速に進行しつつある「禁煙運動」を「ファシズム」として批判する本です。この本は禁煙運動をしている人、禁煙推進派は読まないので「言葉」だけが勝手に走り回るかな?

 この本で健康増進法の中身を改めて読み直してみた。高齢化の進展で国民の健康を政府が面倒見ないといけない。健康は国民の義務と位置づけている。じわじわと国民の知らないところで統制化の動きがすすでいる気配がある。個人情報保護法も、ゴミの分別収集も監視社会。密告者賞賛社会が静かにやってくる気配。

 これだけ平均寿命が長くなったのだから国が改めて、健康増進に力を入れなくても良いのでは、個人個人の健康は自分でが原則ではないかと思う。
 この本も禁煙運動に対する反論。ヒストリックな禁煙推進を進めるところがファシズム化していると指摘している。昔のナチスドイツが優秀な人種を選別する時、禁煙運動(方針)を進めている。一神教の先進国のヒステリックな行き方には不安を覚える。
 最近は迷惑としてちょっと眉をかしげていたことが権利になって、禁煙権なるものも出てきた。その内、嫌ブス権、嫌匂権、兼酒権等々好き嫌いについても権利が主張されてくるのでは?
 それが高じてくるとある権利ばかりに人々の関心が行き、今のように喫煙は悪、これほど社会に悪い物は他に居ない。これらの喫煙者、グループは世の中から抹殺しないとけない。(まがいのことが進行している)

 この先にあるかんがえ方にある一つの価値観に凝り固まって、それ以外は認めない思想に行き着く世の中に役に立たないものはそれは全て排除する。昔の肺病(結核)患者、らい病患者を排除したように弱者、老人、身体障害者を排除する。そんな警告を発している。

ただ、ちょっと一途(余りにも力を入れすぎている)過ぎるところが気に掛かるが。たばこ以外にも身体に悪いものはいっぱいあるが、最近ではたばこは悪いと一言で片づけられて、議論すら出来なくなっている。飲酒運転、痴漢行為、暴力を始め、酒の方がもっと人を殺している。でも禁酒運動は起こらない。ここに見えない作為が感じられる。

この本は分煙を進めている。それぞれが人に迷惑を掛けながらも生きていくのが社会。権利、権利と一途に叫ぶのではなくバランス感覚が必要です。たばこというひとつのものから社会が見えてくる感じて読みました。科学、データ、統計等を過剰に信用するとこんな禁煙運動もひとつしか見えなくなってしまう。(データ事前の感情論)これが怖いですね。

---------------------
ファシズムと化した禁煙運動の危機に気づけ
猖獗を極める昨今の禁煙運動の根源にあるのは特定の集団を差別したいという心理である。現在の先進社会では性別、人権などによって人を差別することは、たてまえ上といえ許されていない。そこで他人に害を与えるいう理由をもとに、喫煙者を「汚い」ものと認定し差別しようとしているのである。これはかつて肺結核者、ハンセン氏病患者が受けた差別と、ほぼ同質のものだ。
二言目には「喫煙者のマナーが悪い、国や自治体が規制してほしい」と言い出し、分煙さえ認めず、全面禁止する主張する禁煙運動家は、再び全体主義を招来する、恐るべき国家依存症にかかっているのだ。(本書 カバー)


健康増進法
http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm
(目的)
第一条 この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。

(国民の責務)
第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。

個人情報の保護
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/houritsu/index.html

59157
本に出会う / ただ一人の個性をつくるために
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:21:33 pm »
書名:ただ一人の個性をつくるために
著者:曽野綾子
出版社:PHP研究所
発行年月日:2004/3/5
価格:1300円+税

曽野綾子の教育論である。今の世の中では結構過激なことをためらいもなく
書いている。はっきりものを言う人です。それも納得出来ることが多い。い
ちいち頷きながら読みました。ケータイ、メールについても自分ではやって
いないといいながら本質をついていると思う。「教育の最終責任者は自分で
ある」当たり前のことであるが、すぐに他の人のせいにしたい。してしまう
風潮に警告を与えてくれる。逆に子どもたちもある時期になったらこのこと
を自覚させることが必要では。今こんな事をはっきりという親も、教師もい
ないのでは無いかと思う。

 「教育はすべて強制に始まる」これも名言だ。また当たり前のことですね
。子どもの権利、人権という隠れ蓑に隠れて親の責任を果たさない人が増え
てきているのでは、人が人として生きていくための基本を身につけさせるこ
とは親の仕事(これはどんな動物でも自分でえさが取れるまで一生懸命訓練
いや教育をする)。自然の摂理ですね。眠り姫、親指姫、お化け姫非常に面
白い喩えですね。これが当たり前になってきているところに心の貧しさが見
えてくるのではないでしょうか?
 

(本書より引用)
----------------------------------
教育の最終責任者は自分である。その次が親である。教師は三番目である。
自分と親たちはその義務を果たしてきたか。この問題は声を荒げて、誰かを
詰問すれば済むことではない。静かに、継続的に、客観的に自問し、自分の
美学と哲学で自分を教育し直すほかないのである。(p3)


教育はすべて強制に始まる。犬をイヌと呼ばせることも、ばらをバラと呼ば
せることも強制だ。

強制に始まった教育は次第に自然に二つの道を辿る。いやになった止める人
と、だんだん面白くなる人とである。奉仕活動も全く同様である。少しやっ
てみて人のために働くようなアホらしいことはごめんだ、と思えば、いつで
も止めるチャンスはあるのである。人のために尽くすということはなかなか
気持ちがいいものだな、と思えば続ければいいのである。
 教育の場でかなり重要なのは、奉仕活動の場合でも、他の場合でも、いさ
さかの厳しさを体験することである。食物でも苦みや硬さなどという一見避
けたいような要素が人の健康に必要だという事になっている。(P132)


眠り姫
電車に乗るやいなや眠りこけている娘
親指姫
電車の乗るや否やケータイを取り出して、何やらキイを押している娘たちで
ある
お化け姫
電車の中で化粧をする女である。(着替えや化粧をする現場は、他人に見え
ない場所でするのが普通の感覚であった。それはまともな美学とも関係があ
る)

ケータイは通信手段としては画期的なものだが、使い方を誤ると亡国的な結
果を生むだろう。そもそも若いときには、もっともっと時間を惜しまなけれ
ばならないのである。もちろんぼんやりと心を休ませる時間も大切だ。しか
し貴重な青春も長くはなく、人の生涯に有効に使える持ち時間も雑事に追わ
れて長くはない。若いときには、まず寸暇を惜しんで、自分を複雑な人間に
教育する必要があるだろう。十分に読書をして専門的な知識を身につけ、で
きるだけ多くの人に出会って、現世にはどれだけ変わった見方があるかを体
験しなければならない。
 ケータイでメールのやり取りをすることが何か大変得難いことのように言
う人がこの頃増えた。それが友情の証だとか、人間と触れ合う機会だとか言
う。
   中略

ケータイでメールのやり取りをしたり、パソコンでチャットをしたりするこ
とは、多分はっきり言うと時間潰しなのである。多くの人が言っているよう
に電話というものは、お互いに同じ場を共有していない友人と同じ場所にい
てそこで事件に遭えば、友人と私はお互いのために何をするかがはっきりす
る。逃げ出すことも、庇うことも、相手を助け出すことも、夢中でするだろ
う。しかしケータイでメールし合っていても、決して同じ運命を共有してい
ない。人生は少しも濃厚にならない。
 ニクマレグチを叩けば、電車の中でメールばかりしていて、少しも活字を
読まないような男女にろくな未来はないであろう。単純な理由だ。読む人は
それだけ勉強しており、ケータイしか興味ない人はそれだけ怠けているから
である。平等という観念は誰でも同じ状態が与えられることではない。努力
した人にはそれだけの報いをすることであり、怠けている人はそれだけ報わ
れないことが平等なのである。(p214-216)

国家が許しても、個人が自分に許せないことがたくさんあっても当然だ。法
律は最高の道徳という見方もあるが、最低の徳に過ぎないとも言える。法に
引っかからなくてもその人が人間としてすべきでないことはたくさんあるは
ずだ。(p220-221)

59158
本に出会う / コンピュータに育てられた子どもたち
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:20:54 pm »
書名:コンピュータに育てられた子どもたち
   教育現場におけるコンピュータの脅威を探る
著者:アリソン・アームストロング
   チャールズ・ケースメント
訳者:瀬尾なおみ
出版社:七賢出版
発行年月日:2000/10/24
価格:1800円+税

コンピュータリテラシー、デジタルデバイド等の言葉はいろいろ使われて
いるが、これほど定義の良くわからない言葉もないのではまた今まできっ
ちりと定義づけが出来た例を見たことがない。なんとなく曖昧でそれぞれ
使う立場の人たちの各々の解釈で使われているように思う。この本は教育
現場におけるコンピュータの使い方使われ方の歴史を振り返りながら、コ
ンピュータが教育現場に入ってきたことによる影響を全般的にとらえてい
る。結論から言うとコンピュータを入れたことによって教育効果が上がっ
たという報告はほとんど無いということ。また影響の度合いはこれから長
期にわたらないと何とも言えないということ。非常に良くまとめられてい
る。コンピュータ導入に賛成の人も反対の人も是非、じっくりと読んで素
直に考えてもらいたい本です。

 著者の結論としては幼い子どもたちにコンピュータを使わせることより
読み書きを生身の教師、親を通じて行うことの大切さを説いている。本を
一つとっても手に取っただけでどれだけの分量がある。目次を見ることで
内容もある程度推測出来る。ページをめくることで先読みも、後戻りも出
来る。また一冊の本としての統一感がある。長い歴史を経てある意味では
完成された表現形式、方法がきっちりと詰め込まれている。

 それに比べてコンピュータがはき出すハイパーリンクはそれなりの便利
さ容易さもあるが、次々と現れる事象に目を奪われて、最初の目的を逸脱
して支離滅裂になる恐れがある。またそれらはそれぞれ信用出来る資料だ
としても断片的な情報・知識の集積にしかならない。ちっちりと読み書き
能力をもった人ならば、それなりにまとめる、編集することができるが、
そんな読み書き能力を持っていないもにとっては知恵が育つどころか、そ
の発達が阻害される。

「読書は充実した人間をつくり、会話は機転の利く人間をつくり、書くこ
とは正確な人間をつくる。」フランシスコ・ベーコン
にあるような人間をつくることはコンピュータには出来ない。コンピュー
タの導入によって教師、子どもたちはただ「気ぜわしく」なるだけで、じ
っくりと物事を考える機会もない。そうでなくてもテレビが毎日「気ぜわ
しく」情報をはき出してくる。ある調査によると18歳までに2万2千時
間テレビを見ることになるとか、そのうち五分の一はCM。
 動画音声は非常に情報量が多くって、「百聞は一見にしかず」と言われ
るように詳細に対象物を見せてくれる。だが子どもたちにとって本当に興
味ある対象物か?大抵は湯水のように投げ出される動画音声情報を見てい
て見ない状態。結局見ていないことで自己防衛をしている。その上コンピ
ュータからの情報を増やすことが本当に子どもたちのことを考えていると
言えるのだろうか?

子どもたちに必要なことは、自然との関わり、人との関わりをもっと増や
すことでは?
 最近、すぐ「切れる」「頭にくる」ということで暴力に訴える場面が多
々あるが、暴力に訴えることは実は一番創造性独創性のないことである。
これからの未来を背負っていく子どもたちに少しでも創造性、独創性を求
めるならば

クラスの人数を今の半分以下にして少人数クラスの実現
コンピュータのために取られてしまう芸術関連科目の充実
自然とのふれあい。特にピアノ・バレー・演劇など。この本の中にある例
であるが、4歳の時にすぐであればマシュマロ1個、ある時間待てば2個
と言ったとき、我慢してマシュマロ2個もらった子どもは将来も自分の情
緒をコントロールすることが出来る。マシュマロ1個もらった子どもは将
来もやっぱり我慢が出来なかったとか。子どもの教育で非常に重要なこと
の一つに自分の情緒をコントロール出来るように育てることではないでし
ょうか?
 この情緒をコントロールすることが出来るようになると学習に対する意
欲も、いやなことでも我慢が出来る。目的に向かって自分を律することが
できるのではないでしょうか?
 それを育ててくれるのは今では受験科目になっていない(取り残された)
音楽、美術、演劇等の芸術関連科目では。これらが豊かな教養を育ててく
れるということをしっかり認識し直さないといけないのではないかと思い
ます。

コンピュータ=脳に良く譬えられますが、これは大いなる錯覚といことを
認識しておかないといけないと思います。全く柔軟性のないコンピュータ
と、脳を比較すること自体が間違っていると思います。五感を通じて生き
ている情報を感じている脳と、単なるインプット→アウトプットの単細胞
とを比較することこそ笑止千万では?

コンピュータの導入する前にやるべき事はいっぱいあるように思います。
コンピュータは導入時だけではなく、その後使える状態にしておくための
メンテナンス、ソフトウェアのバージョンアップ、ネットワークの更新、
急速な技術進歩に追いつくためのコンピュータ教育。2,3年で陳腐化す
るコンピュータの廃棄、新設。それらの予算の確保それが教師の仕事とし
て新たに出てきています。この努力に対して教育効果が未知数。過去20
年程の研究成果を踏まえても効果がプラスという例がほとんど無い。
 これからは違うかも知れないけれど、未知数のものに全国一律で進めて
行くことの危険性を十分認識しておく必要がある。

 教育にハイテクは不要、ローテクで十分と言えるのでは。少なくとも、
幼児、小学生、中学生にあわてて使わせる必要はないのではないかと思う。
便利で、スピーディで、正確であることがいつも有意義で価値があるとは
限らない。コンピュータの操作なんてまともな理解力のある人ならば極短
時間で十分習得出来るではないでしょうか?
 現在の会社、職場に進出しているコンピュータにしてもそんな時間をか
けずに仕事で必要に駆られた人々によって使いこなせるようになってきて
いる。したがって早期教育の必要は全くないと思う。
 それよりは幼児期は幼児期に必要もの、小学生は小学生で必要なもの、
その時でないと経験出来ないものをしっかりやらせることが王道ではない
かと思う。間違ってもコンピュータの操作がその必要なものとは思えない。

(本書より引用)
----------------------------------
なぜ子どもたちは幼いうちからコンピュータに向き合う必要があるのか?
コンピュータやソフトウェアはこどもの教育に欠かせないものだろうか?
コンピュータ教育によって子どもたちがえるものは何か?
そして失うおそれがあるものは?

政治家たちは、テクノロジー面で学校間格差の解消に躍起になっているが
ここで少し立ち止まって熟慮して欲しいものだ。インターネットにアクセ
スする機会の子どもより、芸術に触れる機会を奪われている子どもの方が
多くのものを失っている。コンピュータの操作など、一応道理のわかる大
人なら大して時間をかけなくても習得出来る。子どもの時代にその技能を
習得しなかったからといってそう不利はない。しかし幼い時期に芸術に触
れることがなければ、長い人生において失うものは大きい。
リコーダーの演奏、詩の創作、ダンスのステップ、演技などは、若いとき
の方がずっと楽に身に付く・・・・この活動が学校のカリキュラムになけ
れば才能を開花させる機会は二度と巡ってこないかもしれない。さらに重
要なのは創造的な活動を通して得られる自制心、集中力、情緒をコントロ
ールする力、そして純粋な喜びが、生涯にわたって人生を豊かにしてくれ
るということだ。
(p279)


家に一冊の本もない子ども、マザーグースのリズムの面白さや子守歌の甘
い安らぎを知らず。「おやすみなさいおつきさま」のお話の楽しさや「雪
の女王」に夢中になったこともない子どもたちに、機会は何をしてやれる
のだろうか?テレタビーズやディズニーキャラクターの洪水から生まれる
美意識とは?教室の話し合いに耳を傾けられない子ども。簡単な計算に集
中出来ない子どもに機会が何をしてやれるだろうか?
 今、新しく登場した機械の前に座らさておけば、その子は間違いなく、
一人前の読書家になり、達者な書き手になるとでも?今また新しい電子の
声を聞かせればその子はうまくはなせるようになるのだろうか?とてもそ
うは思えない。

これまで見てきたように、現代の親たちは忙しく、一世代前と比べても、
子どもと過ごす時間が週に10時間は減っている。だっこの回数は減り、
食事は手抜きになり、親は家にいない。この寂しさをコンピュータと過ご
すで償えるのだろうか?テレビとビデオとポップ・ミュージック漬けの幼
年時代を過ごした子どもたちに、また新しいタイプの騒がしい機械など間
違っても必要ない。
 そういう子どもたちは、コンピュータに触れたからといって、魔法のよ
うに文字に親しむようにならないし、さらに言えば社会性も身に付かない
。それより、一クラスあたりの生徒数を減らせるならば、教師は子どもの
一人ひとりを理解して、子どもと人間関係を築く時間的なゆとりを確保で
き、教師にとっても有効な策となる。

 ニコラス・ネグロポンテは将来は「物理的な場所に関係なく、サイバー
スペースで近所づきあいをするようになり、そこでは時間の役割さえ今と
は違ったものになる」と断言している。しかし親からもほとんどかまって
もらえず、学校で生徒数の多いクラスで見過ごされがちな子どもたちにと
って、それは追い打ちをかけるような「デジタル空間のご近所」での生活
はお粗末な代替品としか感じられないだろう。子どもたちには本物の時間
と場所で、本物の人々に囲まれた生活をさせたい。安全に守られている感
覚を得るために赤ん坊が親を必要とするように、子どもたちには本物の社
会が与えられて、そこで学ぶべきなのである。例えばモスクワやマドリッ
ドの小学生とオンラインで繋がっても、それでクラスメートと仲良くでき
るわけではない。直接的な体験の代替品はないのだ。
(p306-307)

真のコンピュータリテラシーとは子ども(親や教師を含めて)最新技術の
利用に適した場面だけではなく、使うべきでない場面も知っていることを
意味するはずだ。(p310)


「テクノロジーと帝国」の中でジョージ・グラントは「学校のカリキュラ
ムの内容はその社会の支配階級が必要とみなす知識の種類で決まる」とい
っている。今日の支配階級の最大の権力者はビジネスエリートであり、そ
の企業の価値観が学校教育に色濃く影を落としている。企業のトップたち
は日頃独創性や高度の思考技術の必要性に口先では賛意しめしても、本音
のところでは学校教育の目標に対して極めて現実的な欲求を持っている。
ある教育家はこう語る「彼らは、批判的思考ができ、問題解決力の高い人
材が欲しいと思います。・・・・・しかし実際ビジネスリーダーたちと話
していると、彼らが本当に欲しがっているのは従順な働きバチのようなワ
ーカーだとわかって不愉快な思いをすることがよくあります」(p316)


芸術と無縁に育てられた子どもは例外なく心が貧しい。だから若い人は誰
でも芸術を学ぶチャンスを与えられるべきで、それは芸術家になるためで
はなく教養を身につけるためなのだ。・・・チャールズ・フラワー


情報狂(インフォマニア)になると、知恵が育つどころか、その発達は阻
害される。・・・マイケル・ハイム


読む能力は子どもの学校生活の中で独自の重要さをもっているので、それ
を習得する体験は往々にしてその子の学業の運命を決定してしまう。
・・・ブルーノ・ペテルハイム、カレン・ゼラン

コンピュータの導入が必ず進歩を意味するという思いこみには落とし穴が
ある。便利で、スピーディで、正確であることがいつも有意義で価値があ
るとは限らない。
・・・D・ラモント・ジョンソン、クレポーン・マダックス

教育の大原則として次のことを強調しておく。何かを教えているとき、生
徒に身体があることを忘れてしまうと、とたんにうまくいかなくなる。
・・・アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド


子どもたちを早くからコンピュータ人触れさせないと、コンピュータ時代に
乗り遅れてしまう。そう主張する人を前にして、ひるんではいけない。そう
いう人は決まって、あなたに何かを売りつけようとしているのだ。
・・・アーロン・ファルベル

59159
本に出会う / 「世渡り上手」で生きなはれ
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:20:11 pm »
書名:「世渡り上手」で生きなはれ
著者:市田ひろみ
出版社:佼成出版社
発行年月日:2001/9/30
価格:1400円+税

「ゆっくりしてきはったらよろしいじゃないの。今、おいしいお茶
いれますさかいに。
 新幹線?そんなの待たしといたらよろしいがな」
このせりふ言いながら、後ろには座敷ぼうきが逆さにたててある。

お茶のコマーシャルでおなじみの市田ひとみの京都風おつきあいの
極意を普段の判りやすい言葉で説明している。
「欲をかいたらあきまへん」
「おつきあいは言葉しだい」
「自己中」もほどほどに

京言葉
庶民が使う「町衆ことば」(京都弁)京都御所を中心にした「御所こ
とば」祇園町、上七軒、先斗町などの花街で話されている「郭ことば」
その他西陣などの職人の言葉、大原など周辺のことば等々いろいろ分
かれている

「おこしやす」と「おいでやす」
初めてのお客さんには「おいでやす」、何回も来てくれるお客さんには
「おこしやす」を使う。

「角を立てない」物言い。相手の言葉即否定しない。すぐに嫌いとは言
わずに「好きやない」という言い方。

京都の人は基本的に、誰とも争わないようにしている、ひどいことを言
って人を傷けたり、言わなくてもいいことは絶対言わない。争ったりす
ればその関係は親子三代まで続くと言われている。

京都人の中に流れている生き方考え方に、継続、続く、繋がるがあると
思う。人と人のコミュニケーションを今の今だけで判断するのではなく
子々孫々に渡って続けていく配慮がある。こんな面倒なことは嫌という
人には非常に理解しがたい京都の壁が見えてくるのではないでしょうか。

この本を読んでいると私の母、おばあさん、親戚のおばさん、近所のお
ばさんなどが普段普通に言っていたことが書いてあるという懐かしさと
不変さを感じた。ただ「よそゆきの建前」で。本音は行間にあると思う。
なかなか難しいものですね。

59160
本に出会う / ウェブ時代をゆく・・・いかに働き、いかに学ぶか
« 投稿日:: 11月 14, 2012, 12:19:32 pm »
書名:ウェブ時代をゆく・・・いかに働き、いかに学ぶか
著者:梅田望夫
発行所:筑摩書房
発行年月日:2007.11.20
価格:740円+税

ウェブ進化論・・「本当の大変化はこれから始まる」から約2年、前作は判る人
は判るという感じで普通の人にはちょっと取っつきにくかったかも知れない。ま
たウェブの進化論というよりは世界で興っているインターネット事情紹介が多か
ったように思う。しかし今回の「ウェブ時代をゆく」はかなり著者の気合いの入
れ方が違うように思う。福沢諭吉の「学問のすすめ」ならぬ「インターネット、
ICTのすすめ」いや現代版「学問のすすめ」か?

 かなりこなれた文章、主張が目立つ。一般の人でも理解できる内容になってい
るのではないかと思う。「学習の高速道路と大渋滞」「知と情報」が今の時代ほ
ど簡単に手に入る時代はなかった。したがってプロ寸前までは誰でも高速道路を
走るように身につけることが早くできるようになってきている。しかしそれから
先は大渋滞になって、「けものみち」をいくか、「高く険しい道」をいくかの選
択がまっている。どちらを行くかは自分の「好き、嫌い」の判断で!
 自分の「好き、嫌い」で選べる時代になっていると言っている。「学習の高速
道路と大渋滞」は将棋の羽生の言い出したこととか?
 若い人に向けた応援歌です。ただ言うだけではなく具体的な話、実体験、自分
の思索、思考を交えて判りやすい説得力のある文章です。

 また、現代版「学問のすすめ」ならばもっと強気に言い切った言い方もあって
も良かったのではないかと思います。福沢諭吉はかなり強気だったような気がし
ます。(これは現在との違いかな)この本に描いてある未来が10年、20年後
どれくらいあっているかは興味あるところですが、それよりも現在の事象を分析
しながら、自分に取っての将来、未来を考えていく上での1つの方向性を与えて
くれる本だと思います。オープンソースというのはあるレベル以上の人が集う場
所。また一緒に創造するという共通の目的があるが、2chのようなコミュニティは
誰でも参加している。特に目的も明確ではない、したがって建設的な意見よりは
足を引っ張るような発言も見受けられる。

オープンソースコミュニティのような建設的な場が他にも出来ると良い。これに
はやっぱりICT参加者の相対的なレベルアップを地道に行っていくしかないのかも
知れない。「衆愚が集まると悪い方向ではなく自然に淘汰されながら必ず良い方
向に行く」というテーゼを信じてみたい。一人一人には必ず善の部分を持ってい
る。負の方向ばかりを表に出しているのはそれはそれなりに大変なことです。

この本は予言書、予想をしている本ではなく著者と一緒に今後のWeb時代を考えて
行きましょうという提案だという気がしました。若い人には是非読んで貰いたいと
思います。この本の中に出てくるプログラムに堪能なひと、エリートばかりではな
く、新しい仕事の創世記にはそれぞれの人にそれぞれの役割が出てくる。それを自
助の精神で見つけてチャレンジしていくことの重要性を説いているように思う。
一言一言にうなずきながらなるほどと思いながら読みました。
 ただ、少し先を行きすぎているところもあると思います。著者の述べているよう
にこれからの時代が進むか?違った方向に進むかは。これから出てくる色々な事象
を検証していくことで判ってくるでしょう。とはいえ触発されることが多い本だと
思います。
「知と情報」が簡単に手にはいるようになると「知らない」ことを恥ずかしがる必
要がなくなる時代の到来かも!ネットで探せば大抵の知は手に入る。これは凄いこ
とですね!

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