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34786
本に出会う / 連鎖破綻 ダブルギアリング
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:41:52 pm »
書名:連鎖破綻 ダブルギアリング
著者:香住 究
発行所:ダイヤモンド社
発行年月日:2003/828
ページ:351頁
定価:1700円+税

著者真山仁氏が真山仁でデビューする前に合作(元大手保険会社マンと2人)で書
いた処女経済小説です。大手生保清和生命は破滅の危機に瀕していた。好調時には
、保険契約高110兆円、資産12兆円を有し、業界トップを伺うところまで行ったこ
ともある。でも昔日の面影はなかった。

入社以来母の愛人であった現会長を失脚させるまでこの会社に居続けるという誓い
を立てた社長室次長の各務裕之、そして1981年入社組の仲間達が乱脈経営を続けた
生保会社の破綻して行く様を時間軸で克明に描いている、ちょうど2000年頃起こっ
た中小の生命保険会社の破綻をまさに実況中継している感じで描いている。バブル
期の相続税対策に売り出された変額保険やサラ金を借りた人に掛けるサラ金保険。

株を持ち合いする銀行への連鎖破綻が懸念される為、金融庁、政治家などが暗躍す
る。親方日の丸、護送船団方式でやって来た銀行、生命保険業界に起こった金融ク
ライシスなかなか迫力があって面白い。本来生命保険相互会社というのは保健を掛
けている人のためにあるもの。またみんな良い人、悪い人は経営しないということ
を前提に作られているもの、しかし利益、効率、規模の拡大と他の業界と同じよう
な歩みを始めてしまった清和生命が腐ってしまう。そして国内の同業社との合併に
よる救済、外国企業との合併に救済、政治家を動かして法律の改定等いろいと策を
練るが結果的には破綻しか手が無くなってしまった。そして各務裕之がとった方策
は?


34787
本に出会う / 軍師の門
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:41:24 pm »
書名:軍師の門(上)
著者:火坂 雅志
発行所:角川学芸出版
発行年月日:2008/11/10
ページ:438頁
定価:2000円+税

書名:軍師の門(下)
著者:火坂 雅志
発行所:角川学芸出版
発行年月日:2008/11/10
ページ:437頁
定価:2000円+税

中国、漢の高祖劉邦は張良、陳平という優れた2人の軍師を擁して天下を平定した
。日本では豊臣秀吉に仕えた「二兵衛」として竹中半兵衛、黒田官兵衛が有名です
。その2人が主人公の軍師の門という作品です。一人一人の作品は多く有りがます
が、二人を比較した作品は初めてでは。竹中半兵衛は病弱なるがゆえにかなわぬ夢
を秀吉に託し、若き日の小寺官兵衛は、軍師の理想像を求めて竹中半兵衛のもとを
訪ねた。

半兵衛から「もっと悪くなれ」と言われたことに強い衝撃を受け、軍師の役目は軍
略だけではないことに気付く。おのれの才知によって天下に名を残そうとする半兵
衛と、軍師としての生き方を模索する官兵衛との間に「義」という絆が結ばれてい
く。 信長の死とともに官兵衛は「もっている知謀」によって秀吉からは遠ざけら
れてしまう。

官兵衛の功績にしては少ない報酬、それでも我慢の日々。秀吉の死後一世一代の天
下取りに、九州全て平定してしまうという賭けに出るが、関ヶ原の戦いはたった一
日で終わってしまった。志半ばで亡くなってしまった竹中半兵衛、黒田官兵衛の二
人の軍師の生き様を描いています。

34788
本に出会う / 破獄
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:40:33 pm »
書名:破獄
著者:吉村 昭
発行所:岩波書店
発行年月日:1983/12/21
ページ:339頁
定価:1500円

無期刑囚の佐久間清太郎が犯罪史上未曾有の4度の脱獄を実行した。というニース
ネタとしてはそれなりに価値があるかも知れないが、普通の人にとっては大した話
ではない。そんな題材をドラマチックに仕上げている。実際にあったフィクション
、戦前、戦中、戦後の犯罪史、刑務所の内情などを各時代に置ける歴史を踏まえて
一無期刑囚の行動を通して描いている。

昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭
和22年札幌刑務所脱獄。そして府中刑務所に収監されて、仮出所で釈放される。当
時の刑務所は1日6合の主食、一般は2合3勺、刑務所の方が待遇が良かった。看守
は食うや食わず。特に網走刑務所は食料は豊かだっとか。裏面史も面白い。獄房で
厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いそして脱獄を許して
しまう。府中刑務所に収監されて佐久間清太郎「もう疲れてしまった」という一言
が非常に印象的でした。吉村昭の真髄が見られる力作です。

34789
本に出会う / 葬列
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:40:03 pm »
書名:葬列
著者:小川 勝巳
発行所:東方出版
発行年月日:2000/5/10
ページ:420頁
定価:1500円+税

第20回(2000年) 横溝正史ミステリ大賞受賞作品。
九條組組員の木島は冴えないヤクザだ。妻に逃げられ、娘のももこと二人暮らし。
九條組の経営するリース会社の社員としておしぼりを配達している。逃れようのな
い貧困からは眼をそらすように日々を送っている明日美、障害者の夫との生活。ラ
ブホテルの深夜の仕事についている。昔マルチ商法に填っていたしのぶ。暗い暗い
渚。社会にもてあそばれ、運命に見放された三人の女と一人の男。この4人がヤク
ザの事務所の金庫を襲うという。そんなストーリー。りきんで書いている。でも話
の展開にリズムがなく、話に入っていくのがちょっと辛い。荒唐無稽な物語設定に
無理がある。そんな感じがした。

34790
書名:この命、義に捧ぐ
   台湾を救った陸軍中将根本博の軌跡
著者:門田 隆将
発行所:集英社
発行年月日:2010/4/30
ページ:298頁
定価:1600円+税

この本は2年前に発行された。時期が今年だったら大騒動になったかも知れない。1
945年8月15日玉音放送を聞いて、関東軍の山田乙三司令官が選択した「武装解除受
け入れ」によって、満州にいた邦人、兵隊は多くの悲劇に翻弄された。ところが駐
蒙司令官の根本博は自分の責任で武装解除を拒否し、「邦人を守り抜く」方針を貫
き通した。そして邦人4万人がソ連軍から逃れる。そして北京の国民党蒋介石と交
渉して日本に帰国させた。この蒋介石の恩義、また戦勝国で話し合ったカイロ会談
でも蒋介石は国体を保持することを主張してくれた。

しかし蒋介石率いる中国国民党と毛沢東率いる中国共産党との「国共内戦」、中国
の農村地帯を逃げ回って略奪を繰り返していた毛沢東の共産党が日本が降伏した後
、ソ連の援助もあって勢力を拡大し、蒋介石率いる中国国民党はどんどん追い詰め
られていた。1949(昭和24)年6月根本博は九州・延岡の海岸から小さな漁船が夜陰
にまぎれて台湾に密航を企てる。途中、座礁や船の故障で、九死に一生を得ながら
、根本は台湾に辿り着く。蒋介石の危機にじっとしていられなかった根本は蒋介石
に心情を訴える。以前の恩義に報いるために命を捨てにきたと。

感激した蒋介石から根本は「林保源」という中国名を与えられ、軍事顧問を命じら
れて中国の福建省厦門(アモイ)に行くが、一目でアモイを守り抜くのは無理と見
る。そして金門島を死守することを提案する。アメリカからも中国の共産化の動き
は止められないと見られていたが、金門島に上陸してきた人民解放軍を壊滅させた
。今まで殆ど知られていなかった事実を綿密な取材、関係者へのインタビューを通
じて著者が明らかにしたスクープ。歴史ノンフィクションです。 昔の軍人の中に
も根本博のような人もいたということが判ってほっとする。またこの本に出て来る
関係者は多岐に渡っており、日本人と中国人の交流の深さが強調される。敵国同士
であっても心の通う交流があって人間のしたたかさ、義理、恩義などが感じられる


34791
本に出会う / 命のかがやき
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:21:08 pm »
書名:命のかがやき
著者:盛永 宗興
発行所:東方出版
発行年月日:1995/3/20
ページ:43頁
定価:583円+税

43ページの小冊子です。盛永宗興老師(妙心寺、花園大学学長)が1993年3月1日に
新潟市で行った「命・生と死と」と題した法話をまとめたものです。横浜市の中央
図書館にこの本が揃っていたことに感動しました。(誰が選んだのかな?)

豊かで便利で不自由がない。勝手なことが出来る。そういう中でだけ人生を追い求
めて一生まともに生きていけると思いますか?人生には別の価値あることに目覚め
なければ、発見できなければ人は生きていけない。心の安らぎや冷静さを取り戻し
、もっと自然にすなおに受け入れるべきものは受け入れていくことが本当の幸せで
あると。法話ということもあって易しく説いている。でも奥は深い深い。盛永宗興
老師の本を読んでいると自然に心に安らぎが得られる。この本の中では育児ノイロ
ーゼなんかは自分で選んで何でも出来ると思い上がった結果、今までなかったもの
が社会問題になってしまったと説く。「母乳に関する二二の手紙」山内逸郎著、山
陽新聞社を800冊を注文して法話を聞いてくれる人に配った話が出ている。この本
を読めば育児のことがよく分かると説いている。

本書より
---------------------------------
生まれる時にも親を思いのままに選べなかった。生まれる時に、男になるか女にな
るかも思いのままには得られなかった。人生そのものの出発点で、まず選ぶ自分自
身というものすらが、全部すべてお与えの条件の中で作られたという、これが私た
ちの人生ですから、選べるものがあると考えることの方が大間違いです。だから自
分の思い違いを変えていくという勇気は絶対に必要です。それと同時に、自分では
どうにもならないお与えのご縁というものを受け入れていくだけの、冷静さと申し
ましょうか、あるいは、その智慧のある生き方ともうしましょうか、忍耐という言
葉は使いたくないのですが、「ご縁」をそのままに受け入れていくという、許容力
を目ざめさせる。更に変えるべきのと変えることの出来ないものと、はっきり見極
めるだけの知恵と、この三つはどうしても身につけなければ本当の幸せにはなれま
せん。


あなたちは、自分を愚かしいものだと考えることはいけません。つまらんものだと
考えてもいけません。だから、頭のいい人たちが作り出した。いろいろなものを利
用しないと幸せになれないのだと考えるのは間違いです。すばらしい人たちが作り
出しているものは気の毒に何らかの事故によって、病気によって、そういう普通の
自然の形をとることの出来ない人たちのために、いろいろ作られてのであって、自
然なやり方が出来る人たちは、その自然なやり方の中に完璧な状態が生まれている
。そこに目覚めるものがあるということです。
毎日私たちの日常生活の中にも備わっているのです。私たちは小利口ぶってそれを
全部止めてしまって、代替品で事をすますということになっているのです。

34792
本に出会う / 花渡る海
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:20:35 pm »
書名:花渡る海
著者:吉村 昭
発行所:中央公論社
発行年月日:1985/11/10
ページ:342頁
定価:1200円+税

1800年代の初め、大坂から江戸に新酒を運ぶ千石船に水主として乗り込んでいた久
蔵は、大坂を出航して潮岬を過ぎた頃から暴風雨に襲われ船は難破して舵を失い。
帆柱も切り倒され海の藻屑の如く漂流を余儀なくされた。ただ波、風任せの漂流生
活2ヶ月。雪と氷に覆われた島影を発見して上陸。上陸して周囲を見渡してみても
人が住んでいる気配はない。余りの寒さに次々と仲間が凍死していく。久蔵も雪の
塊に押し潰されて窒息しそうになったり、足が重症の凍傷になったりした。

もう死ぬしかないと諦めたときに、ロシア人を伴ってきた仲間に発見されて一命を
取り留めた。八丈島と思っていた島はカムチャッカ半島だった。ロシアの医師に久
蔵の足の治療(左右の足の指を何本か切断する手術)をして貰って傷が癒えようと
している頃、日本に送り返してくれることになった。(先に日本で捕まっているロ
シアのゴロヴニン少佐との交換条件として)でも完全に治療が終わっていないので
船の中で死ぬ怖れがあるということで、船に乗った医師に追い返されしまう。

仲間は久蔵を残して日本に向かっていく。一人残された久蔵はロシアに棲み着いて
日本語教師にさせられようとしたが、ゴロヴニン少佐の交換交渉は失敗して、再度
久蔵との交換を行うことになった。このとき高田屋嘉兵衛の活躍でゴロヴニン少佐
がロシアに帰ることが出来た。また久蔵は日本に帰ることが出来た。2年の歳月が
たっていた。しかし理由の如何を問わず国外に出たものは厳しい罰則が待っていた
。安芸の国以外に出てはいけない。ロシアであったこと。経験したことなどは口外
してはならない。郷里に戻った久蔵は一生安芸の国で貧しい生涯を終える。

ロシアにいた時代に足の治療してくれた医師ミハイラに天然痘の予防接種の方法を
学び、一緒に村々を回って子どもたちに予防接種をした。そして帰国のときに牛か
ら採取した種痘菌、メス等の道具を持って帰って来て、函館の役人、江戸の役人、
安芸の国の役人に強く疱瘡の予防接種を進めるが誰も取り合ってくれない。日本で
最初に種痘が行われたとされるときより25年も前の事だったとか。「花渡る海」の
花とは天然痘の予防接種をして1週間後に腕にできるかさぶたの事である。それが
花が咲いたように見えるので花と呼ばれたらしい。歴史の影に埋もれた一人海の男
の波乱万丈の生涯を描く長編です。


34793
本に出会う / 保科正之の一生
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:20:10 pm »
書名:保科正之の一生
著者:三戸岡 道夫
発行所:栄光出版社
発行年月日:2006/2/1
ページ:327頁
定価:1700円+税

徳川秀忠の子と身ごもった志津は、江与(お江の方)を怖れた秀忠はお城下がりを
言い渡す。武田信玄の二女、穴山梅雪の正室見性院という老尼と信玄の六女信松院
の二人に保護された志津は男の子を出産する。幸松(後の正之)と名付けられたは
見性院、信松院の二人に育てられた。7歳で信州高遠藩主保科正光の養子縁組みし
て母志津とともに高遠に住む。兄家光、忠長の三代将軍の巡っての争いが表面化し
てし、春日局の大活躍で結局、家康の指示で跡継ぎは竹千代(家光)と決まった。

戦国時代を勝ち残ってきた創業の人家康、その基盤をついて反対派、有力武士を押
さえながら
幕府を運営していた秀忠。落ち着いたとはいえまだまだ徳川に反旗を翻らせる恐れ
のある時代を生きる家光。武断政治から文治政治への移行時期を家光の影の支援者
に徹して生きた保科正之。兄弟でありながら家臣に徹した。そして家光亡き後は徳
川四代将軍家綱の後見人として将軍家に忠誠を誓い。御三家以上に徳川に忠誠の家
会津藩保科家(後に松平家と改名)としてその礎をとなった保科正之の一生を描い
ている。

織田信長、徳川家康などのような創業のリーダーではなく、仁徳で世の中を安定さ
せるためのリーダーとして21世紀にも通用するリーダー像がここにあるように思う
。有名な15条の家訓。幕末にこれが影響したのか会津藩の悲劇もあったが、200年
以上の前の保科正之の家訓が営々と語り継がれて規範として幕末まで残ってきた。
保科正之の業績の中で江戸城の天守閣を再建しなかった。(天守閣は時代遅れと割
り切った)。高齢者の福祉、親孝行の表彰。扶持を与える。殉死の廃止、末子養子
の禁止の緩和(大名家が潰れないように)。妻子供の人質の廃止。振り袖火事で大
混乱したとき、大名を自国に率先して帰らせた(火事で食糧不足の時には人を地方
に移す)なかなか味な政治をやっている。もう一度じっくりと見直してみたい人物
です。それもNO1ではなく、NO2に徹している。

保科正之の15条の家訓
一、大君の儀、一心大切に忠勤に励み、他国の例をもって自ら処るべからず。
  若し二心を懐かば、すなわち、我が子孫にあらず 面々決して従うべからず。
一、武備はおこたるべからず。士を選ぶを本とすべし 上下の分を乱るべからず
一、兄をうやまい、弟を愛すべし
一、婦人女子の言 一切聞くべからず
一、主をおもんじ、法を畏るべし
一、家中は風儀をはげむべし
一、賄(まかない)をおこない 媚(こび)を もとむべからず
一、面々 依怙贔屓(えこひいいき)すべからず
一、士をえらぶには便辟便侫(こびへつらって人の機嫌をとるもの
  口先がうまくて誠意がない)の者をとるべからず
一、賞罰は 家老のほか これに参加すべからず
  もし位を出ずる者あらば これを厳格にすべし。
一、近侍の もの をして 人の善悪を 告げしむ べからず。
一、政事は利害を持って道理をまぐるべからず。
  評議は私意をはさみ人言を拒ぐべらず。
  思うところを蔵せずもってこれを争うそうべし 
  はなはだ相争うといえども我意をかいすべからず
一、法を犯すものは ゆるす べからず
一、社倉は民のためにこれをおく永利のためのものなり 
  歳餓えればすなわち発出してこれを救うべしこれを他用すべからず
一、若し志をうしない 
  遊楽をこのみ 馳奢をいたし 土民をしてその所を失わしめば
  すなわち何の面目あって封印を戴き土地を領せんや必ず上表蟄居すべし

右15件の旨 堅くこれを相守り以往もって同職の者に申し伝うべきものなり
寛文8年戊申4月11日

一、婦人女子の言 一切聞くべからずは保科正之のことが判ると理解出来ることで
すが、とんでもないと思われる人もいるかも。男尊女卑?って



34794
本に出会う / おたから密姫
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:19:42 pm »
書名:おたから密姫
著者:米村 圭伍
発行所:新潮社
発行年月日:2007/11/20
ページ:461頁
定価:1900円+税

主人公は九州豊後の小藩である温水藩二万五千石、藩主乙梨利重の末娘蜜姫とこの
娘の「甲府御前」が主人公。甲府御前は甲斐武田家の血筋を引き、学識豊かで頭脳
明晰の才女、自由奔放で密姫を使って難問を解決していく。密姫は女ながら男の恰
好をして剣を振るい、冒険好きのおてんば。
温水藩の隣の風見藩時羽家に仙台伊達家から縁談が持ちかけられた。その縁談には
奇妙な厳しい条件が一つあった。竹取物語のかぐや姫が求めた五つの宝のうち、ど
れでもよいから一品持参せよという条件。

「仏の石の鉢」、「蓬莱の玉の枝」、「火鼠の皮衣」、「龍の顎の五色に光る玉」
、「燕の子安貝」の謎を探っていき、日本書紀、古事記、風土記、今昔物語、源氏
物語、宇津保物語を巡り、かぐや姫が大陸渡来の金属製錬技術を持った一族から使
わされたとし、大和朝廷が金属製錬技術の取得を策略した物語と想定して、砂金か
ら鉱山からの金の採取、製錬術、武田の隠し金山。江戸時代の初めの大久保長安、
その後の事件と奇想天外な物語が展開する。あまりにも多岐に渡った壮大な歴史ロ
マンが横たわっている。

作者の教養、知識を披露しながら実は読者の力を試している。いや試されている。
気楽な読み物として読むこともできるが、その奥深さはなかなかものがある。第一
弾の『おたから蜜姫』も読んでみたい。

34795
本に出会う / 天狗争乱
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:19:00 pm »
書名:天狗争乱
著者:吉村 昭
発行所:朝日新聞社
発行年月日:1994/5/1
ページ:451頁
定価:1748円+税

尊皇攘夷と言えば水戸藩、桜田門外の変から4年、幕府に睨まれ続けていた水戸藩
。水戸藩門閥派に藩政の実権を握られた水戸尊王攘夷派は農民らを交え千余名を組
織して筑波山に「天狗勢」を結成して挙兵する。しかし国内では長州が京都から失
脚し、尊王攘夷派不利の状況。幕府軍、水戸藩門閥派の追討を受けて行き場を失っ
た彼らは敬慕する徳川慶喜を頼って京都への行軍を続ける。攘夷断行を掲げ、水戸
、信濃、美濃、越前を規律の取れた態度で進む天狗勢だったが、徳川慶喜は自分の
身が大事で、見放されしまう。そして非情な最期を迎える。水戸学に発した尊皇攘
夷思想の末路を天狗勢の行動を詳細に描くことによって示している。天下が変わる
時代尊皇攘夷思想など殆ど知らないままで参加したものもあっただろうが、志とは
まったく違った結末、それでも置かれた立場を懸命に生きた人達が居た。そして投
降に至るまでの加賀藩の武士達、捕虜になった後での加賀藩武士達の武士道。「士
を知る」態度は好感が持てる。しかし徳川慶喜の保身べったりの態度は頂けない。
天狗勢も激動の幕末に咲いたあだ花かもしれない。「桜田門外の変」の続編。

34796
本に出会う / にぎやかな天地
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:17:57 pm »
書名:にぎやかな天地(上)
著者:宮本 輝
発行所:中央公論新社
発行年月日:2005/9/30
ページ:370頁
定価:1600円+税

書名:にぎやかな天地(下)
著者:宮本 輝
発行所:中央公論新社
発行年月日:2005/9/30
ページ:357頁
定価:1600円+税

フリーの編集者船木聖司は顧客の老人(松葉伊志郎)から「日本の優れた発酵食品
を後世に伝える本」の製作を依頼される。船木は豪華限定本の編集、製作を手がけ
ている。今回の仕事は糠漬、熟鮓、醤油、鰹節…等の日本の発酵食品。日本各地を
取材する内に微生物の偉大な営みに魅せられていく。

船木聖司は神戸出身で独身、京都在住の製本職人。パトロンの松葉伊志郎に依頼さ
れて、発酵食品の本を作ることになります。その協力者として料理家の丸山澄男、
彼女の美奈子、カメラマンの桐原、助手の寺沢といった仕事がらみの人脈と、彼の
実家の母親、姉、母親の腹違いの兄の家庭、父親の死に大きく関わった人の家族と
の人間模様が並行して描かれます。32年前と7年前の、ある「死」がにぎやかな“
時間”を運んでくる。発酵食品の取材で京都宮津の飯尾醸造(酢)、鹿児島の丸久
鰹節店(鰹節)、和歌山新宮の東宝茶屋(なれ鮨)、滋賀県高島町の喜多品(鮒鮨
)など実際の店を訪ねている。久々の面白い作品です。

本書より
------------------
 死というものは、生のひとつの形なのだ。この宇宙に死はひとつもない。
 きのう死んだ祖母も、道ばたのふたつに割れた石ころも、海岸で朽ちている流木
も、砂漠の砂つぶも、落ち葉も、畑の土も、おととし日盛りの公園で拾ってなぜか
いまも窓辺においたままの干からびた蝉の死骸も、その在り様を言葉にすれば「死
」というしかないだけなのだ。それらはことごとく「生」がその現われ方を変えた
にすぎない。
この物語は、「死から生まれる生」あるいは「不死であること」を描いています。

私は死を怖がらない人間になることを願いつづけた。
だが、そのような人間にはついにはなれなかった。
きっと私に、最も重要なことを学ぶ機会があたえられなかったからだ。
(死というものは、生のひとつの形なのだということを。)
ならば、私は不死であるはずだ。 

◆富士酢◆飯尾醸造ホームページ
http://www.iio-jozo.co.jp/
丸久鰹節店:鹿児島県枕崎
http://www.meihin-kyushu.com/mall/maruhisa/
喜多品:ふなずし老舗「廃業」 400年の伝統…不振
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20120805ddlk25020359000c.html
「喜多品」飛び込み取材の巻
http://www.sol.dti.ne.jp/~sin-saho/syokutano-funazushi.htm
ぐるなび - 東宝茶屋 (串本町・那智勝浦・新宮/居酒屋)
http://r.gnavi.co.jp/3100029/

34797
本に出会う / 戦後史の正体 1945-2012 著者:孫崎 亨
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:08:35 pm »
書名:戦後史の正体 1945-2012
著者:孫崎 亨
発行所:創元社
発行年月日:2012/8/10
ページ:386頁
定価:1500円+税

著者は戦後史を読み解く視点として「対米従属路線」対「自主独立路線」の対立と
いう考え方から1945年から2012年の政治史を中心に独自の見解を示している。そし
て今までは陰謀説等が騒がれたことがあったが、きっちりと事実を指摘しながらわ
かり易く解説してくれる。この本の特徴は高校生でも理解出来る内容と銘打ってい
るとおり易しい語り口でわかり易い。
8月15日の終戦記念日は知っている人はいても9月2日のポツダム宣言受諾した敗戦
が決まった日は殆どいない。敗戦を終戦と言い換えてポツダム宣言。降伏文書など
も見た人は殆どいない。この本の巻末には両方とも収録されている。

物議を醸し出している東京地検特捜部、実は、1947年の隠退蔵物資事件を契機
に、東京地検に設置された「隠匿退蔵物資事件捜査部」がその前身である。その出
自から、米国との深いかかわりを持つ組織なのである。GHQの手下なって暗躍して
いた。また、吉田茂氏が、日本の思想警察組織として、内閣調査室と公安調査庁を
設置して、CIAとの連携を図ったことも明らかにされている。東京地検特捜部で
は芦田均の昭和電工事件、ゾルゲ事件等の布施健。ロッキード事件の堀田力。陸山
会事件の佐久間達也。などが。
戦後すねに傷がある人物がGHQ、アメリカのシンパとして日本の指導者的立場を確
立していった。日本で最初の民間テレビ放送会社である日本テレビ放送網は、やは
り戦犯容疑釈放者として知られる正力松太郎氏が創設したものだが、この正力氏に
はPODAMという、CIAのコードネームが付されていた。

戦後の政党史、外交・軍事・産業政策、政変や疑獄の解釈が極めてよく見えてくる
。、現在の政治的混乱の背景も実によく理解できる。戦後、何らかの形で自主独立
を主張した首相である重光葵、石橋湛山、芦田均、岸信介、鳩山一郎、佐藤栄作、
田中角栄、福田赳夫、宮澤喜一、細川護熙、鳩山由紀夫のほとんどが、意図せざる
形で退陣させられている。この流れに繋がるのが陸山会事件であることはもちろん
である。鳩山由紀夫もいろいろ問題があるが、「沖縄から県外、国外に基地を移す
というのは当たり前のこと。」でもいろいろな妨害で失脚した。これに懲りた「管
直人」「野田」はまたアメリカべったりに「対米従属路線」をなにも考えず進もう
としている。自民党の総裁候補も日米同盟を声高に謳っている。これも「対米従属
路線」の継承か?

「対米従属路線」が良かったか「自主独立路線」が良かったは長い歴史が答えを出
してくれるでしょう。アメリカも一枚岩ではなく世界の状況によって方針が大きく
揺れているので、どれが良いということではなくて、今後の日本の進むべき道をど
う舵取りして行けばいいのか。また世の中の動きを見る上で非常に示唆に富む良書
だと思う。ひとつの歴史の見方として優れているのではないかと思う。知らなかっ
たことが3.11以後、ようやくぼちぼち出てきたことは良いことかなと思う。

目次
はじめに
序章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章 冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改定
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変容
第七章 9・11とイラク戦争後の世界
あとがき


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本に出会う / 乱の王女 1932 愛と哀しみの魔都上海
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:08:01 pm »
書名:乱の王女
   1932 愛と哀しみの魔都上海
著者:生島 治郎
発行所:集英社
発行年月日:1991/6/25
ページ:333頁
定価:1262円+税

舞台は昭和7年(1932年)の上海に絞り、まるで映画のように川島芳子の青春を描
いている。「愛と哀しみの魔都上海」という副題がついている。川島芳子は清朝の
粛親王の第4側妃の娘で第14王女にあたる。満州事変の翌年、上海事変が起こり、
満州国建国宣言、五・一五事件が起こった年。日本の軍部が狂い始めた年。中国人
の父と日本人の母とする竜宗好19歳が日本から上海に戻ったところから物語が始ま
る。竜の父は貿易商で反日運動で中国人のために自宅で殺させてしまう。その後母
と竜は母の実家(日本の金沢)で生活をしていた。上海の自宅(邸宅)は焼けたけ
れども一部残っている状態だった。そこには父の遺産(金)が焼けた床下に埋めて
あった。その遺産を使って日本軍の上海事変に対抗する防衛隊を組織して竜が立ち
上がる。竜の遺産を狙って日本陸軍、国民軍が暗躍する。そんな中で川島芳子と出
会う。竜と本当に短い生涯と芳子のひとときを描いている。


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本に出会う / 萩原重化学工業連続殺人事件
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:07:28 pm »
書名:萩原重化学工業連続殺人事件
著者:浦賀 和宏
発行所:講談社
発行年月日:2009/6/4
ページ:564頁
定価:1500円+税

美麗なルックスを持つ青年、有葉零と双子の兄弟一の前に現れた少女祥子、その少
女はある組織の命令で近くに住む作家を殺しにきたと言う。零は祥子の首を絞めて
殺してしまう。あわてて警察を呼ぶ。祥子の死体は行方不明に。そして全く別の場
所で祥子の死体が発見されるその死体の頭はのこぎりで切断されていて「脳」が無
かった。次々と連続殺人事件が発生する。それも奇妙は「脳のない死体」ばかり。
有葉零の近所の何もかも見通す謎の家政婦、犯人の手がかりを警察が掴めぬまま、
連続事件へと発展してゆく。すべての事件の鍵を握る“萩原重化学工業”の正体と
はちょっと現実の世界と別の世界の間を行き来するゲームの世界の中で起こった殺
人事件。あまりにも作りすぎた物語という感じです。

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本に出会う / 花畑
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:07:03 pm »
書名:花畑
著者:水上 勉
発行所:講談社
発行年月日:2005/2/9
ページ:281頁
定価:1700円+税

 療養のため長野県佐久市の山間の村に移ってきた先生と呼ばれる作家が主人公。
その村で暮らす大工、左官、植木屋などの老人と、出稼ぎに日本に来たタイ人女性
たちのやりとりをほのぼのと描く。日本に来るためには大きな借金を抱えて、パス
ポートも観光ビザ、不法滞在をおびえながら様々な現実の問題を抱えながら生きる
姿を第三者的にユーモラスに眺めている主人公。村の老人達の暮らしぶりにも人ご
と視線で見つめている主人公。「生きる」と言うことを冷ややかに見つめた作品。

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