メカニズムの発明
動物性の足の利用はあきらめて、無機物からなるメカニズムを発明したのである。発明したのが運の尽きである。以来、それは速力のコンクールになった。人類は競争するつもりでも、それが競争ならないことはいつぞや自動車を例に述べた。一戸に一台はおろか、一人が一台を所有すれば生活のペース(足並み)は自動車の速度と同じになる。歩いて一時間かかったところを、自動車で七分としてみなさん七分で走れば、歩いた昔と同じで、発明しただけで損だと言った。神々が天から覗いてみれば、近頃下界の人間どもは、何だかちょこまかが歩いているよと曰う位が関の山だ。
脳ミソの一とびに比べれば、弾丸列車ももの数ではない。さらばと、ジェット機やら、ロケットやらをこしらえて、再び進歩だ科学だ近代だと言うのはもういい加減にしてはどうか。