スピードきちがい
かりに、東海道五十三次を、昔一ヶ月かかって旅したとする。それを旧式の汽車が、一日に縮めたとする。新式が半日に、もっと新式が四時間に、さらにーーーーとくればこれはもう止めどがない。
結局、東京大阪間の時間を人は「無」にしたいのである。四時間を二時間に、二時間をゼロにするのが、進歩だ、科学だと小学生にまで教える位だもの、教える当人は固く信じているに違いない。その点はソ連人もアメリカ人も同様である。この二大国の思想は、ことごとに反対だといわれているが、根底は同一だと私は見ている。
東京大阪間の所要時間を、なぜ無に近くしたいのか、それは元来、我々の脳ミソ中に「時間」が存在しないため