書名:時代の寸法
著者:森 毅
出版社:文藝春秋
発行年月日:1998-12-10
定価:1714円+税
森毅のエッセー集である。この本もいろんな話題の集積庫という感じ
がする。
アメリカあたりは、今でも大学を出てすぐ就職するとはかぎらぬ。京
都の大学を出て、神戸で半年ボランティア、秋から東京に就職なんて
のが、二割やそこらはあってよい。東海道新幹線で東京へ着いたら、
半日ほど銀座をぶらついて、夕方の東北新幹線に乗るようなもの。今
の日本では、先を急いでみんな乗りかえるから混み合う。
ともかく時代の変わりめ。様々の寸法の時代があるにしても、過去
の常識にしがみついてはおれぬ。時代を意識するとは、一つの時代に
しがみつくことではなくて、複数の歴史時間に身を置くことで、それ
が時代を哲学する事でもある。
(本書115ページ 時代の寸法より)
このあたりの余裕、自由が欲しい現実を再認識させられる。人と違っ
た新鮮さにときたまはっとしながら読んだ。