書名:男女の仲
著者:山本 夏彦
出版社:文春新書
発行年月日:2003.10.20
定価:690円+税
「誰か「戦前をしらないか」夏彦迷惑問答」、「百年分を一時間で」につづく
夏彦問答シリーズの最終回。亡くなる直前までの対談集です。
常々、戦前と戦後の「男女の仲」で締めくくりたいと語っていた。「恋と化け
物のうわさは良く聞くが、実物を見たことはないと古人は言っている。恋に似
たもの以外に恋があろうかとこれは僕が言っている」
正岡子規以前まで和歌を作ることは教養だった。樋口一葉も和歌をいっぱい作
っている。正岡子規によって和歌は滅んだ。子規の本名は升(のぼる)という
ベースボールを野球と名付けた。野(の)球(ボール)としゃれている。
写真は証拠にならない。写真信仰は現代病の随一で、医者と警察は写真しか
信じません。ストレスは写真には写りません。すると写真機の方を工夫します。
すべて写真はやらせです。証拠にならない。これが私の持論です。
アメリカは健康な国だから原爆を落としたのを認めても決して謝らない。と
ころ日本は不健康な国だから謝ってばかりいる。戦後直後の貧乏国になれば誰
もなにも言わなくなる。
等々わかりやすい言葉で本質を突く一言が面白い。また楽しませて貰いまし
た。漢字、漢語の教養が滲み出てくる。よく勉強していた人だと思う。ひとつ
のことを人と同じには見ていない。違う視点が面白い。