良寛さんは杜皐さんへ見舞の手紙を送っています。
災難に逢う時節には災難に逢うがよく候 死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候 かしこ
と、見舞の一文の中に書かれていました。その意味は、「災難にあったら慌てず騒がず災難を受け入れなさい。死ぬ時が来たら静かに死を受け入れなさい、これが災難にあわない秘訣です」ということです。聞きようによっては随分と冷たい言葉です。しかし、これほど相手のことを思っての見舞いの言葉があるでしょうか。「大変でしょうが、頑張ってください」とは誰でも言えます。「頑張って」の一言も書いていないのに、受けとった杜皐さんはきっと、「この災難の中で生き抜いていこう」と思われたに違いありません。