書名:役小角絵巻 神変
著者:山本 兼一
発行所:中央公論社
発行年月日:2011/7/25
ページ:425頁
定価:1700円+税
飛鳥時代、天武天皇の意志を引き継いで、持統天皇が藤原不比等とともに新しい中
央集権の国造りを着々と推し進め、藤原京という新しい都を作ろうとしている。こ
の飛鳥の国造り、この天と地は一体誰のものか。葛城山に共に助け合い、自由に山
に住む役小角の仲間達。律令を定め、国造りを進めていくスメラミコトを中心とし
た国家に、役小角は鬼神を操り強大な支配者に挑む。SF伝奇小説と言える。持統天
皇、文武天皇、藤原不比等、役小角など歴史上の人物が登場してくるが、作者の世
界にこれらの人達を生き生きと描いている。なぜ人は人を支配し、搾取して、持て
るものはより多く得ようとし、貪欲になってしまうのか。人間、組織の存在の根源
を問うている。山本兼一としてはちょっと今までとは違うジャンルの作品です。