投稿者 スレッド: 泣き虫弱虫諸葛孔明  (参照数 277 回)

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泣き虫弱虫諸葛孔明
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 10:26:43 pm »
書名:泣き虫弱虫諸葛孔明
著者:酒見 賢一
発行所:文藝春秋
発行年月日:2004/11/25
ページ:485頁
定価:1905円+税

三国志の中に出て来る話を酒見流の視点で、本当の孔明はこんな人ではなかった
か?という風にちょっとユーモアを交えながら綴っている。一応、三国志の中身
を知っているとなんとなく話についていけるのですが、知らないとあまりにも話
が飛ぶのでついていくのに苦労する。三国志では英雄諸葛孔明になっているが、
実は孔明が参加してから殆ど領土を広げたわけでもなく、戦に勝った訳でもなく
、平凡な軍師それを歴史と民衆が一躍英雄に押し上げてしまった。関羽にしても
神様までになってしまった。この現象を酒見流に面白おかしく綴っている。
劉備・関羽・張飛の3兄弟と孔明それらはやくざの任侠の世界で繋がっていた。曹
操は組織的に国家を運営していくことを目指したが、劉備は任侠の世界で情で動
かすということで、人には人気があったが、強国は作れなかった。そんな違いを
そこかしこに散りばめている。

本書より
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「真人は足跡を残さず」という。人類に対して、歴史に対して、真に重要なこと
をやった人間の名は残ることはない。逆に言えば名が歴史に残ってしまうような
やつは駄目で、じつは大した仕事はしていない、という意味である。
いいたとえではないが、最初に野菜や肉を塩漬けにすると中長期保存が可能と気
づいた人間だとか、釘に螺旋を切ってネジにした人間とか、人類の多くの発明、
技術は明かし人知らずである。---中略----
史書の中に男の名ばかり出てきても、それを支え助けた女性の名は希にしか残ら
ない。昔から女が「子供をつくる道具」以上の重要不可欠なものであったことは
誰しも分かっていたことであろうに殆ど無視を決め込んできた。英雄と英雌は同
価値であるべきだ。偉人伝にしろ、悪人伝にしろ、歴史に名が記録されているよ
うな者は真人ではないということになる。