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ソブリンリスクの正体
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 10:05:26 pm »
書名:ソブリンリスクの正体
著者:浜 矩子
発行所:フォレスト出版
発行年月日:2011/12/10
ページ:207頁
定価:900円+税

ソブリンリスクという言葉はじめてお目に掛かる言葉だ。簡単に言うとソブリン
(sovereign)とは、英語辞書で「君主、統治者、国王、主権団体」という意味で
、ソブリンリスクは、国家(国)に対する信用リスクのことをいう。本リスクが
高まると、格下げ不安やデフォルト(債務不履行)懸念の台頭によって、国債な
どの需給悪化に影響し、国の資金調達が厳しくなる。また、国の債務残高が大き
く、短期債での資金調達の度合いが高い国ほど、利回り上昇によって利払い負担
が増大することになる。地政学でいうとカントリーリスク。国家の信用に対する
リスクのこと。

2009年-2010年のギリシャの財政危機では、ソブリンリスクが欧州の周辺国へも伝
播し、一時緊張感が大きく高まった。またアメリカでも議会で国債の発行額上限
を緩和する法案を通してなんとか凌いでいる。
グローバルな世界での出来事はひとつの国の破綻が、次々とドミノ倒しのように
甚大な影響を与える。IMFも貿易収支赤字になった国を救うために作られた機関。
ところがそれだけの役割ではすまなくなってきている。ただどんな役割を負って
どうすれば良いのかも判っていない。複雑な難しい問題を比較的単純化してわか
り易く説明しているので、理解しやすい。日本の財政が悪化してきた歴史にも踏
み込んで本来、国の財政は健全が基本、赤字国債は例外の例外的処置。その基本
を忘れて税収40兆円、歳出80兆円を続けてきた運営。何故そうなったかを分析し
ている。200ページの本ですが、中身が結構濃い内容。著者の整理された頭がうか
がえる。

第1章 危機の風景ーソブリンリスクはなぜ怖い?
第2章 変質するソブリンリスクー舞台中央に躍り出た財政問題
第3章 債務の天井にぶつかるアメリカー青天井こそ一番恐い
第4章 アリさん国家の内なる巨大メタボキリギリスー日本国のソブリンリスク
第5章 ソブリン・ショックの連鎖に揺れるー思いさまざまな欧州のソブリンたち
第6章 国破れて何残る?-ソブリン・ショックの結末