投稿者 スレッド: 光圀伝  (参照数 445 回)

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光圀伝
« 投稿日:: 9月 20, 2015, 07:28:54 pm »
書名:光圀伝
著者:冲方 丁
発行所:角川書店
発行年月日:2012/8/31
ページ:751頁
定価:1900円+税

著者冲方丁(うぶかたとう)は先日妻に暴力を振るったとして逮捕されてしまった。この作品でNHK大河ドラマをと目論んでいた水戸市は急遽諦めざるを得なかった。因縁の作品。

御三家のひとつ水戸徳川二代の水戸光圀の一生を描いた作品。時代は戦国の時代も終わって徳川政権の安定化に向かうという時代の武士達を通して時代の動きを描きながら、三男であった光圀が何故、水戸徳川家を継承してしまったのか?光圀の大義は何であったか?こころの葛藤を描く。明暦の大火で江戸城の天守閣が焼けてしまった。それを再建しなかった保科正之の時代を見越した行動(江戸初期の激動期からの脱出)、大名の取り潰しが多く、世間に浪人が増える。武の時代ではなく文の時代という端境期に蠢く人々、武士から町人の時代、そして段々政権が確立してくると閉塞感も広がってくる。監視社会、停滞社会の中を如何に生きるか?どの時代でも安定の中の不安定、不安定の中の安定そんな微妙な中で一生を過ごした水戸黄門の物語。なかなか読み応えのある本です。
何故、四書五経の時代朱子学、史学に傾注して「大日本史」の編纂という大事業に挑んでいったのか?歴史が何故必要なのか?興味ある本です。

『光圀伝』 (冲方丁 著) | 著者は語る
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1821
東京新聞:「光圀伝」の作者 冲方容疑者逮捕 水戸市長「非常に残念」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150827/CK2015082702000160.html