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イスラーム世界の論じ方
« 投稿日:: 3月 07, 2015, 07:35:32 pm »
書名:イスラーム世界の論じ方
著者:池内 恵
発行所:中央公論新社
発行年月日:2008/11/10
ページ:425頁
定価:2600円+税

イスラームという耳慣れない言葉、イスラーム(イスラム教)は、キリスト教や仏教でいうところの枠には収まらず、政治・経済・法・社会・生活習慣・文化など、人間生活のほとんど全てを規定するとされている。本当?

またマホメットと習ったが、最近はムハンマドというらしい。イスラムの世界は殆ど知らないものにとっては参考になる本書。ちょっと理屈っぽい本ですが。イスラム教でいうところのアッラーは神ということ。これが唯一の神とされる。で実態は「ヤハウェ(エホバ)」キリスト教、ユダヤ教と同じ神様を信じる。ムハンマド(マホメット)の後述した神の言葉(読み書きできなかった)「コーラン」を経典とします。その中に一日5回の礼拝、豚を食べない。女性は「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフを被ること。などの戒律がありますが、この戒律が厳しくなったのは最近のこと。これはビジネスを行う上で「利子を付けない」などのイスラム圏の国々が有利なるためとも言われている。

もともとイスラム教は戒律はあるが、それを破ったからといって懺悔、異端などの罰則はない。またキリスト教のように「ローマ法王」のような統率者もいない。それぞれがバラバラ、組織化されているわけではない。したがってモンゴル帝国、オスマン帝国の時代でも異教を禁止もしない。結構アバウトな宗教だった。最近イスラム原理主義などと言われているが、原理主義というのはキリスト教にある考え方。イスラムに原理主義はない。またイスラム過激派という言葉も実は欧米がイスラムを差別した表現。決してキリスト過激派なんて言わない。もともと中東は「アラビアのロレンス」でも分かるようにイギリス、フランス、ドイツなどが植民地にしていた地域、したがって出稼ぎだったり移住しているイスラム圏の人々が住んでいる。それらを差別した表現。

NHKでは 「イスラム国」の呼称を「IS=イスラミックステート」を変更したが、日本のような国では組織が強いのでこのISも強力な組織のように扱っているが、同胞団的な繋がりでそれどれのリーダーが緩やかな連携で動いている。そんな組織を壊滅することは難しい。強力な軍隊は負けたときの解散も出来るが、こんな緩やかな組織では負けが徹底しない。いつまでも残ったリーダーがまた出てくるのだろう。

この本はどちらかというと今の世界の動きに合わせた論調が多く入っている。イスラーム世界の一つの見方として読むには良い本です。でもあくまで外部からの視点、アメリカからの視点から見ている感じがする。一部の過激派はどんな国でもある。それをイスラム過激派とある種の組織的な集団を指すような言い方は少しおかしい。したがって中東の一部の動きを全てように書かれているところが多いような気もする。でも知らなかったことに対して一般的な知識を与えてくれる。ただ実態はなかなか難しいように思う。