書名:中国意外史
著者:岡田 英弘
発行所:新書館
発行年月日:1997/10/5
ページ:253頁
定価:1800円+税
中国について知らないことが多いが、恐妻の国、そして恋愛のなかった国。恋愛が成立するには暮らしに余裕がないとできない。また文学が見本を示せないと出来ない。中国にはどちらもなかった。天地会等の宗教による秘密結社と中国の政治の関係、人口(三国志の時代は500万人ほどしかいなかった)適正人口は5000万人位、それが多くなったり少なくなったりしながら清朝末期に億を超える人口になっきた。冗談ではなく食人(人の肉を食べる)の習慣があった。
水滸伝・三国志などは1900年代になってはじめて受け入れられた。それまでは馬鹿の読むものだった。その水滸伝には食人のことが一杯出てくる。魯迅が嘆いている。中国にはユーモアのセンスはない。堅い堅い話か、下品な下ネタ話しかない。漢字、表意文字を持った国の不幸、書き言葉(建前)でしか国民に知らせる方法がない。口答では話が通じない。大演説をした毛沢東、蒋介石でも必ず文書を配布してからそれぞれの方言で話をしたとのこと。今まで知らなかったことが一杯で面白い。
科挙の試験、で文章ばかり追いかけてきた国、建前だらけ、文章作法が問題で中味はどうでもなってきて、儒教などは文章の見本を提示しただけ。したがって儒教の精神、思想は伝わっていない。毛沢東語録も同じと著者はいう。本音で語れない中国人。テレビのインタビューを見ていてもある程度判る。言いたいことを思考できるだけの語彙がない。自分の考えを表すだけの言葉がない。これって不幸なことだという。