書名:震災列島
著者:石黒 耀
発行所:講談社
発行年月日:2004/10/22
ページ:489頁
定価:1800円+税
名古屋で地質会社を営む明石真人は、政府・マスコミが騒いでいる東海地震だけではなく、東南海地震が連続して発生すると予測して、名古屋の街の地上げに必死な関西系の「阿布里住宅」という不動産屋
あくどいやり方に義憤を覚え、娘の仇を討つべく復讐計画を練り上げ、父親と2人で準備を始める。数ヶ月後、ついに東海地震が発生、続いて東南海地震、津波と。
東日本大震災を経験した我々はこの物語の中で地震、津波の話は実感としてよく分かる。またここでは浜岡原発の炉心融解(メルトダウン)を目前にまで追い込まれる。この大災害の中での復讐劇。最新の研究データに基づくしっかりした構成で書かれている。大災害小説ですが、それには人は、生き様を鋭く問われている。
著者石黒耀のコメントより
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こんにちは、石黒耀です。
世界の1パーセントの国土に、21パーセントの地震(マグニチュード6以上)。東京の自然災害危険度はニューヨークの17倍。日本で暮らすということは、実はそれだけで相当リスキィな行為だということを、著者コメント欄に書こうと考えていたら、初版発行翌日に新潟県中越地震が発生。初の新幹線脱線とか、既存の断層の前後に延びる未知の伏在断層、震度6強など、作中で想定したある地震そっくりの状況が展開して、唖然としました。地震規模もほぼ同じです。
私に予知能力があったわけではありません。この規模の地震は、日本のどこでいつ発生してもおかしくないのです。恐ろしいことですが、私達が暮らすのはそんな国なのです。 まして政治は三流、行政は傲慢、公的借金は年間税収の約20倍となると、大災害時に国が被災者をどこまで支援してくれるか怪しいですね。せっせと保険に入って、自分で身を守るしかない?しかし、法律上、大規模災害時には保険会社の免責が認められていますから、それもあてになりません。この世は、スリルとホラーでいっぱいなんです。