投稿者 スレッド: 2015年放射能クライシス  (参照数 552 回)

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2015年放射能クライシス
« 投稿日:: 8月 31, 2013, 07:42:53 pm »
書名:2015年放射能クライシス
著者:武田 邦彦
発行所:小学館
発行年月日:2011/10/4
ページ:221頁
定価:1200円+税

今まで図書館で武田邦彦の本を探すのが難しかった。図書館には置いているところが少なかった。温暖化のウソに警告を発したり、分別回収に意味はないと言ったり、人とは違うことをハッキリと発言する人。そして何年かすると言っていることが正しいことが判ってくると言うちょっと先を行きすぎている人。みんなが夢中で節電節電と言っているときには節電など必要ない。国を挙げてやることではない。という発言をしていました。

原発の事故当初から政府、東電、マスコミとは違った情報を毎日ブログで発信してきました。当初放射能は風向きによって運ばれるとドイツのサイトの予想図を示していました。

そして原発事故が起こってから6ヶ月立ったところで4年後に起こるニッポンの危機とは何か?ということ、放射能汚染によって世界の中で孤立化する日本の辿る道とは? 生活、社会、経済に忍び寄る本当のクライシスとは? あらゆる側面から近未来予想図を描く。そしていまある食品や水は大丈夫なのか?魚はプルトニウムに汚染されていないのか? といった具体的な例を挙げながら現状での危機を避ける生き方も提示する。さらには「事実を隠しウソをつく」企業や政府、メディアの欺瞞と裏側を暴き、2015年の悪夢を回避するためにいま最も必要なものは何なのかを説く。この本は2年前の本ですが、今現在起こっていることと重ねて考えるとよく分かると思います。2015年この本の言っていることが当たっていない
ことを願います。


本書より
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●本著はこれから4年後、それはもしかすると被曝(ひばく)によって甲状腺がん患者が出る時期でもありますが、日本社会に何が起こるかを事実に基づいて明らかにしようとするものです。(p.5)

●世の中では今ごろになって、「何ミリシーベルトが危険なのか」と議論していますが、そもそも、そんな概念自体が間違いなのです。国際的にも、国内の法律でも「年間1ミリシーベルト」と決められているのだから、それに基づいて、徹底的に調査し、対策を講じ、情報公開することが必要なのです。~(中略)~後ほどその経緯を紹介しますが、「年間1ミリシーベルト」という被曝の上限は、長い年月をかけて国際的に議論した結果、合意に達した「気まりごと」です。(p.21)

●私がいつも言っていることは、「放射線による被曝と人体の関係はよくわかっていない」ということです。誤解されている人も多いのですが、私は「1年1ミリシーベルト以上は健康に害がある」とは1度も言ったことがありません。あくまでも、「わからないものは注意する」というスタンスです。誰にもわからないことを「わかったように言うこと」が危険なのです。(p.22)

●チェルノブイリ原発事故では300京ベクレル程度の放射性物質が漏れたわけですが、数10京ベクレル規模が漏れると、国際原子力事象評価尺度で最悪の「レベル7」になります。「レベル7」に位置づけられている原発事故は、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故だけです。(p.31)

●放射線と体の関係については、わかっているところと、わかっていないところがあります。~(中略)~1年間に100ミリシーベルト浴びると、1億人に対して50万人が「過剰発がん」になります。放射線によるがんの発生は「確率的」、つまり、被曝量に比例しているとされています。このため、1年間に1ミリシーベルト浴びた場合は、100ミリシーベルト浴びた場合の100分の1、つまり、1億人に5000人が放射線によってがんになると予想されます。年間20ミリシーベルトならば、その20倍ですから、1億人に対して10万人が発がんすると考えられます。年間1ミリシーベルトという数値は、「我慢できる限度」と呼ばれています。1億人当たり5000人の発がんですから、「100%安全な線量」ではありません。(p.35)

●原発の本質を一言で言えば、「原発とは、ウラン235が核爆発をして、その熱で水を蒸気(スチーム)にし、その蒸気でタービンを回して電気を起こす仕組み」です。たとえば、広島の原爆で使用されたウラン235は約30キログラムでしたが、福島原発の燃料装荷量は1号機が69トン、2号機~4号機が各94トンですので、計351トンです。(p.42)

●つまり、事故を起こした福島原発には、広島の原爆の500倍以上のウラン235が存在していたことをきちんと認識しなければいけません。このように、原爆で数十キログラムのウランが使われるのに対し、原発では何百キロ、何十トンという大量のウランを扱います。濃度や燃焼度などが違うので単純に比較できないのですが、原発事故のほうが放射性物質の規模が大きいのです。(p.43)

●東京で空気中のチリの放射能濃度が最も高かった3月15日10時から11時に、東京の大気中に浮かんでいたチリは、それぞれ立法メートルあたり、ヨウ素131が241ベクレル、ヨウ素132が281ベクレル、セシウム137が60ベクレル、セシウム134が64ベクレルでした(放医研データより)。(p.46)

●つまり、外部被曝で約1マイクロシーベルト、呼吸によって体内に取り込まれた放射性物質による被曝で約5マイクロシーベルト、合計約6マイクロシーベルト(毎時)の被曝だったことがわかります。外部被曝より内部被曝が多いことに気がつくでしょう。~(中略)~私が当時、東京から離れるか、もしくはマスクをつけて口から入る放射性物質を防ぐことが大切と訴えていたのは、このためです。(p.46)

●小児甲状腺がんは非常に症状が厳しく、体がやせ細って、皮膚が透明になっていき、ベッドに寝ている状態になります。この衝撃的な映像が4年後から世に出てくることによって、私たちの社会は大きく揺さぶられると考えられます。(p.51)

●福島原発事故では、チェルノブイリ原発事故が経験していない「海に直接、放射性物質が放出された」という事態も招きました。原発が爆発するときは、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムの4種類の放射性物質が外部に出ます。このうち、ヨウ素とセシウムは上空に放出され、ストロンチウムとプルトニウムは重い物質のため海や土壌など下のほうに出ます。チェルノブイリ原発事故ではストロンチウムとプルトニウムは、重くて陸地を移動していかない性質のため、あまり害をもたらしませんでした。ところが、福島原発事故では汚染された水が直接、海に流出しました。今回、海には「ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム」のの4種類すべてを含む汚染水が流れ出たと考えられるのですが、ストロンチウムとプルトニウムについてはまだ測定値が出てきていません。おそらくですが、わざと測定値を出さないようにしていると思われます。なぜ測定しないのかというと、ストロンチウムやプルトニウムが海の中に存在するからだと考えられます。測定値が報告されているのはヨウ素とセシウムのみです。魚からヨウ素とセシウムが検出されて、基準を超えるケースも出ていますが、もしかするとストロンチウムとプルトニウムも基準を超えているかもしれません。(p.70)

●福島原発からの放射性物質は、現在でも1時間に10億ベクレル以上、1日に約250億ベクレル漏れています。~(中略)~このように、放射性物質は増加する一方という事実にまず気がつかなければいけません。結論をはっきり言えば、除染をしなければ、お米はずっと汚染されるということです。(p.90)

●阻止するためには、現にそこに放射性物質が存在することを認識し、それを人間の手で取り除かないとダメなのです。原発事故から25年経っても放射性物質で土壌が汚染されたままのチェルノブイリの例を挙げるまでもなく、自然に土地から放射性物質が消え去ってしまうことはありません。(p.91)

●今の「政府の暫定基準値」は1キロあたり100~2000ベクレルですから、どうも政府は密(ひそ)かに「1年5ミリシーベルト」で食材の基準を決めたらしいのです。私は良心的な流通会社までもが、きちんと説明もされていない「政府の暫定基準値」で安心していることが理解できません。単に「政府が決めた値だから安全だ」ではなく、自ら「自分たちは子供を守るために1年1ミリシーベルトを守る」と宣言してから「安全です」と言ってほしいのです。今のところ、食材のベクレルを表示している生協ですら、「政府基準=5ミリシーベルト=子供にも安全」としていますが、私にはやはり理解できません。(p.96)

●現実に震度6で東日本の原発が全部壊れたということは何を物語っているかというと、耐震性を上げられるのに、電力会社がサボっていただけなのです。耐震性を上げるのにたとえば1000億円かかるとすると、それよりも政治家、マスコミ、学者への「つけ届け(お金)」にして100億円で済ませようとし、結果的にはそうなっていたわけです。電力会社自身がそれを意図していたかどうかは別ですが、政治資金を出し、広告をじゃんじゃん打ち、東大の先生にがんがん研究費を渡すので、誰も原発に文句を言わなくなってしまったのです。そのため、震度6で原発が倒れているのに新聞で報道されないことになったのです。(p.143)

●東日本の原発の安全性をすべて間違った原子力安全委員会、経産省の原子力安全・保安院に安全を審査する能力はありませんし、再開は技術的にはとうてい無理なのです。(p.152)

武田邦彦著「2015年放射能クライシス」
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