書名:長野殺人事件
著者:内田 康夫
発行所:光文社
発行年月日:2007/5/25
ページ:365頁
定価:1600円+税
私にとっては内田康夫の本は良く読んでいるが、本を買うまでもない。図書館で借りて読む作家の代表的な人です。
久々に読んでいない本に出会いました。図書館中心なので人気作家の内田康夫はなかなか廻ってこない。したがって数年以上前のものでないと書架に並ばない。内田康夫の魅力は登場する地域が全国、世界と広がっていて、その地方地方の特徴を良く捉えている。方便として殺人事件が起こる。それも複雑な推理小説のように無理矢理こじつけたような犯罪は少ない。また事件の種明かしが比較的早い時期に明快に進められる、
この本も長野県を舞台に田中康夫(この物語では秋吉)知事登場時代のことを題材に持ってきている。そして長野県警の竹村岩男警部(長野のコロンボ呼ばれている。他の作品にも登場する)、それとお馴染みの浅見光彦(この作品では後半部分から登場)のコンビで事件を解決するストーリー。定番になった感じのストーリー。水戸黄門、忠臣蔵などのように定番もののは読む者にとって安心感を与えるところがある。
ある人が、良く講演などを頼まれたら、聴衆の大部分が知っていることを話せ、そして10%ほど新しいことを盛り込んでおけ。すると良い講演だっと言われる。人は自分の知らないことはやっぱり聞かない。だから独自のオリジナルばかり話すと悪い講演になる。と
内田康夫の作品にはそんなところがある。だから流行作家なのでしょうね。またその極意を知っているから次から次へと作品が書けるのでしょう。現代の作家は作品の数量も売れる作家の重要な条件なんでしょうね。この作品では名前だけで知っていた飯田市周辺のことがよく分かった。また飯田市から長野市に行くよりも愛知県名古屋市に行く方が近いことも。長野では北の地方と南の地方では仲が悪い。もともと2つの県が一つになったことも理由。など雑学にも面白い本です。