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データはうそをつく 
« 投稿日:: 11月 15, 2012, 11:56:29 am »
書名:データはうそをつく 
著者:谷岡一郎
出版社:筑摩書房
発行年月日:2007/05/25
定価:760円+税

 大阪産業大学の学長谷岡一郎氏の著作です。自然科学と社会科学の事実認定のプロセスの違い。帰納法、演繹法の違いの説明等初歩的な常識を分かりやすく説明しています。その後マスコミはいかに事実をねじ曲げるのかということを例を上げて説明しています。自然科学のアインシュタインの相対性原理ですら、未来永劫絶対的な原理という保証がない。まして社会科学は一度きりの事象を扱っているので、条件が異なると結果が違ってくる。したがって厳密な原理原則というよりは曖昧な部分を残している。そんなところを上手く利用して、データ(何となく信用できそうな語感です)を利用してあたかもデータが語ったような風を装って、自分の主張に誘導していくマスコミの例などを見事に説明している。

 情報過多の時代自分で考えることの大切なことを説いている。そこで大事なことは教養、リサーチリテラシー(著者の命名)(事実や数字を正しく読むための能力)、ゴミの中から本物をかぎ分ける能力(セレンディビティ)の3つの総合的な思考力を養い自分で判断出来る力を持って欲しいと訴えている。結論が先にありき、その結論にあったデータ、理論(いや屁理屈)があまりにも多い。しかしそれが判る人は数パーセントしかいないのでは?もう少し自分の頭を使おうと言っているように読みました。ちょっと可笑しいなと感じたら本書で説明している事実認定のプロセスなど思い出して見たいと思う。

 これも若い人には是非読んで欲しい人。逆説ですが、この本を手に取るような人は3つの総合的な思考力が養えている人かも?星占い、血液型、オカルトなどは話の種、遊び程度で止めておきましょう。信用する。信ずるようなものではないという当たり前のことを当たり前に感じて欲しい。また科学的に証明されていると固く信じることも危険かな?マスコミの事実のねじ曲げ方として取り上げない(記事、話題にない)、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスの得意だった同じ事を何度でも繰り返す。何度も繰り返すと何となく信じてしまう。(一つの事件が起きるとそればかりどのチャンネルを見ても繰り返していますね)こんな時は当分の間、マスコミから遠ざかる。1ヶ月位後から追いかけると事実が見えてくるのでは?
 ちょっと刺激される本でした。