投稿者 スレッド: 何一つまともに答えず「検討」だけ こんな政権が「奇妙な安定」で続くのか  (参照数 120 回)

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何一つまともに答えず「検討」だけ こんな政権が「奇妙な安定」で続くのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/318222

なぜ、質問に答えないのか。先月末から、いよいよ衆院予算委員会の本格審議がスタートした。

 昨年末「防衛政策」と「原発政策」の歴史的大転換を図り、さらに年明け「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田首相は、施政方針演説で「国会の場で、国民の前で、正々堂々議論する」と宣言していた。

 ところが、いざ本格審議がはじまると、なにを聞かれても「ゼロ回答」を続けているのだ。

 昨夏の参院選まで原発の建て替えや新設を「想定していない」としていたのを一転させ、原発回帰に方針転換しておきながら、予算委でも理由を説明しようとせず「関係省庁の専門家会合で100回以上の会議を行い議論を重ねてきた」と、木で鼻をくくる答弁で済ませている。

「防衛政策」の大転換についても、まったく同じだ。今後5年間の防衛費を総額43兆円にまで膨らませることについて、野党から「数字ありきではないか」と問われても、「1年以上にわたって議論を積み重ね、現実的なシミュレーションを行った」と答えるだけで、なぜ43兆円も必要なのか、具体的に説明しない。

 予算を2倍にすると豪語した「異次元の少子化対策」にいたっては、「具体策は」「財源は」と聞かれても、「作業を進めている」「6月の骨太の方針までに大枠を示す」の一点張りである。

 いったい、どこが「国民の前で正々堂々」なのか。しかも、与党議員に対しても、通り一遍の答弁しかしないから異様である。ここまでくると“安全運転”というレベルを超えているのではないか。さすがに、大新聞まで「首相 塩答弁」「正々堂々ゼロ回答」「塩対応の予算委答弁」と報じているほどだ。

 しかし、国会の閉会中に、専守防衛を逸脱する「敵基地攻撃能力の保有」や「原発の新設」を勝手に決め、国会がはじまっても国民に理由を説明しないなどということが許されるのか。国民に具体的な内容を説明しないとは、どういうつもりなのか。

「恐らく、岸田首相は、国民に余計な説明をしない、と決めたのだと思う。“安倍国葬”以来、国民の声を聞かずに重要政策を決定し、決定したことを国民に伝えるだけ、という政治スタイルが定着している。アベ政治とまったく同じです。具体的な内容に踏み込むと、反対意見が増えるだけという計算もあるのだと思う。“異次元の少子化対策”は、ただの思いつきだから、具体策がなにも決まっておらず、説明したくても説明できないのでしょう」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)

低支持率でも安泰のカラクリ
結束して岸田政権と対峙しなければならないのにバラバラ(立憲民主の泉健太代表)/(C)日刊ゲンダイ
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 さすがに国会答弁を見た国民は、岸田首相のなめ切った答弁に呆れ、怒っているに違いない。内閣支持率も30%台を割る“危険水域”に沈み込んだままだ。30%を切ったら、政権は長く持たない──がセオリーである。

 ところが、なぜか岸田政権からは「奇妙な安定感」が漂っている。「広島サミット花道論」も取りざたされているが、実際には、政界は「無風」状態。岸田周辺の危機感もゼロだ。

 どうして、こんな政権が“安定”しているのか。

「大きいのは、しばらく国政選挙も総裁選も行われないことでしょう。“黄金の3年間”ではないでしょうが、選挙がなければ、政権はそう簡単には崩壊しない。しかも、自民党内に『ポスト岸田』が不在です。具体的に岸田首相を脅かす存在がいない。自民党の政党支持率が高いことも、岸田政権を支えている。その一方、野党の支持率は低迷したままです。永田町の論理だけでみると、いま岸田政権には不安定要素が見当たらないのです。内閣支持率が低迷しているのに、政権は安定している。そんな『奇妙な安定』に岸田首相も気がついている可能性があります」(金子勝氏=前出)

 確かに、衆目の一致する「ポスト岸田」は自民党内に不在である。岸田本人も「誰かいるのか」と、強気な姿勢を見せているという。

 ふざけたことに、“敵なし”状態の岸田は、異様なハイテンションになっている。1月26日付の朝日新聞によると、安保関連3文書改定、防衛増税決定などを成し遂げた高揚感を漂わせながら「結局、全部やったのは俺だよ」と党幹部に漏らし、防衛力の抜本強化を決定した際には「安倍さんなら大反発を受けていたところだ。自分はやりきった」と周囲に語ったそうだ。

 しかも、野党もまったく力がない。政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。

「野党は本来、結束して岸田政権と対峙しなければいけないのに、自民党の分断工作もあり、バラバラな状態です。国民民主党は完全に自民党に籠絡されて、連立入りするとの観測もあるほど。日本維新の会も、表向き立憲民主党と共闘していますが、安保政策、原発政策は立憲と水と油です。不祥事で自民党議員が辞職したことに伴う衆院千葉5区の補欠選挙は、野党にとって大チャンスなのに、立憲、共産、維新、国民がそれぞれ候補者を乱立させている。これでは、岸田自民に対抗するのは難しいでしょう」

■この地獄はあと1年半続く

 大新聞テレビもなぜか岸田政権には甘い。

 少子化対策の財源論を巡る議論は象徴的だ。旧民主党政権が、所得制限のない「子ども手当」を打ち出した時は、「財源の裏付けがない無理な政策」「子ども手当に巨費を投じる余裕などない」と手厳しく批判していたのに、岸田自民が所得制限の撤廃を打ち出してもほとんど批判しない。

 防衛増税をめぐる報道も、本来は、本当に防衛費を倍増させなければいけないのか、根本に切り込む必要があるのに、自民党内の増税賛成派と反対派のバトルにフォーカスを当て、すっかり「増税か国債か」の財源論に矮小化してしまっている。

 大新聞テレビがこんな体たらくでは、岸田は余裕しゃくしゃくだろう。本来、国民の支持を失った政権には厳しく向き合うのがメディアの役割ではないか。

 フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏が1月17日付の毎日新聞で「(マスコミは)世をすねたチンピラでいいんです」「抜かりなく、果敢に権力に切り込んでいかないと」と言っていたが、その通りだろう。

 最悪なのは、たとえ国民の支持を失おうが、支持率が10%を切ろうが、岸田政権は長く続く可能性があることだ。

「総理は解散権を封印し、2024年9月の総裁任期満了まで総理を続け、任期が来たら『退陣します』と辞めるシナリオを考えている可能性がある。再選を放棄した政権は強いですよ。安倍政権の8年間、忍従してきた岸田さんは、“3年間、好き勝手にやらせてもらう”と考えているフシがある。かつて、自民党内で“三木降ろし”が起きた時も、結局、三木首相は任期満了まで総理を続けた。岸田政権も任期いっぱい続く可能性があります」(官邸事情通)

 この地獄はまだ1年半以上も続く恐れがあるということだ。

「物価高の長期化もさることながら、何より恐ろしいのは、岸田政権が日本を『戦争できる国』にしたことです。軍事費倍増が、周辺諸国を刺激してしまったのは間違いない。最悪の事態に発展したらどうするのか。岸田首相にそこまでの考えがあるとは思えません」(本澤二郎氏=前出)

 国民の命を左右する「大転換」を決めるたびに自己陶酔にひたる男が首相に居座り続けるなんて、悪夢でしかない。もはや国民一人一人が立ち上がるしかないのではないか。