投稿者 スレッド: 蛍の橋  (参照数 648 回)

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蛍の橋
« 投稿日:: 3月 21, 2013, 04:46:19 pm »
書名:蛍の橋(上)
著者:澤田 ふじ子
発行所:徳間書店
発行年月日:2010/9/15
ページ:347頁
定価:629 円+ 税

書名:蛍の橋(上)
著者:澤田 ふじ子
発行所:徳間書店
発行年月日:2010/9/15
ページ:343頁
定価:629 円+ 税

野々村仁清は京焼色絵陶器を完成したと言われている。丹波国桑田郡野々村(現・京都府南丹市美山町大野)の生まれ。若い頃は粟田口や瀬戸で陶芸の修業をしたといわれ、のち京都に戻り、正保年間(1644年 - 1648年)頃仁和寺の門前に御室窯(おむろがま)を開いた。

この物語の一つの裏に野々村仁清の名作が、そしてもう一つが知将真田幸村の嫡男であり浄土宗僧侶として生きる東庵。時代は徳川家光の時代、天下もようやく落ち着きつつあった時期だったが、大坂夏冬の陣で滅んだ豊臣家の再興を目論む旧豊臣方の残党の暗躍。古田織部の切腹で衰退しつつあった美濃織部焼の再興にかける平蔵という一人の若者、許嫁のお登勢が時代の激流に飲み込まれ、翻弄されていく。

美濃織部焼の再興に情熱を燃やす平蔵、時代の流行に乗れなかった。美濃織部焼、唐津焼、瀬戸焼そしてそれに変わって京焼が流行ってくる。その技術と感覚をつかまんと京都にやって来た平蔵が東庵と知り合い心を通い合わせたところがこの物語の裏の仕掛け。ちょっと複雑な話の筋ですが、それが後で段々と意味を持ってくる。また陶器、お茶などの説明も詳しい。野々村仁清の京焼色絵陶器は一人の作品ではなく、共同作業で、その中に重要な色絵のデザインに平蔵の工夫の跡が残されている。なかなか面白い作品です。

本書より
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野々村仁清のもとで新しい茶陶の可能性にかける平蔵、真田幸村の遺児として豊臣家の再興を狙う大助、平蔵を永年慕い続ける幼馴染みお登勢―。豊臣から徳川へ…時代の激流にのみ込まれまいと抗う男女三人の苛酷な運命。