最近、久々に金子みすゞの詩集を読んでみました。生前は有る一部の人たちに
しか知られていなかった金子みすゞ、死後40年以上たってから漸く世間に知
られるようになった童謡詩人金子みすゞです。
彼女は作品は死後50年以上たっているので著作権は失効しています。でも
これからも出来るだけ大勢の人に読んでもらいたい詩だと思います。
御存じの方もいらっしゃると思いますが、先年の正月松たか子主演で金子みす
ゞのドラマをやっていました。幼い子供から、100歳の年寄りまであらゆる
年代の人に読めて、それぞれの年代に応じて感じ方、見方がことなりながら、
どこか人間の原点を考えさせてくれる非常に素直な作品が多いような気がしま
す。魂の底に響いてくる何かがあるような気がします。自然を見つめる目、生
と死をしっかりと見つめている視点は詩人はやっぱり凄いと驚かされています。
下記に彼女の作品を紹介します。
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土
こっつん こっつん
打たれる土は
よい畠になって
よい麦生むよ。
朝から晩まで
踏まれる土は
よい路になって
車を通すよ。
打たれぬ土は
踏まれぬ土は
要らない土か。
いえいえそれは
名のない草の
お宿をするよ。
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自然のことわりというか、一番最後に地球に出現した人間が勝手にこれは役に
立つ、これは役に立たないと自分勝手な価値判断を下している人間の愚かさに
大きな警鐘を投げかけているような気がしました。
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大漁
朝やけ小やけだ
大漁だ
大ばいわしの
大漁だ。
はまは祭りの
ようだけれど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう
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この見方凄いですね。生と死をこんな目で見る作者にただただ驚くばかり。人
間としての優しさあふれる心が見えてくるような気がします。
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積もった雪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて
中の雪
さみしかろな。
そらも地面もみえないで。
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これも愛と優しさ、視点の違いに目が覚める思いがします。
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私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私が体をゆすっても、
きれいな音は出ないけれど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みなちがって、みんないい。
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これはかなり有名になっていますので読まれた方も多いのでは差別、区別のむ
なしさ、みなちがって、みんないい(凄い言葉ですね、平等などを訴えている
活動のスローガンも、この一言の前には全くかすんでしまうような気がします。
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金子みすゞ(本名テル)
明治36年4月11日(1903年)山口県大津郡仙崎(現長門市仙崎)に生
まれる。
昭和5年3月10日 26歳でこの世を去る。