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東京奇譚集
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:57:14 pm »
書名:東京奇譚集
著者:村上 春樹
発行所:新潮社
発行年月日:2005/9/18
ページ:210頁
定価:1400円+税

1987年頃『ノルウェイの森』がベストセラーとなったとき、村上春樹を読んで何と
なく位相があわずに今まで一度も読まなかった。本を手に持ってみてもどうもしっ
くり来なかった作家です。久々に東京奇譚集を読んでみました。

偶然の旅人(「新潮」2005年3月号)
ハナレイ・ベイ(「新潮」2005年4月号)
どこであれそれが見つかりそうな場所で(「新潮」2005年5月号)
日々移動する腎臓のかたちをした石(「新潮」2005年6月号)
品川猿(単行本収録)

5つの短編集です。文章はこなれていて軽く読みやすい。(ベストセラー作家の必
須条件ですね)物語の展開が面白い。時代の流行にフィットしている。そんな感じ
です。普通100ページほど読むとその作品の中に入っていけるのですが、この村上
作品はどうもそうはいかない。ぼく、わたしと出て来るがどこか第三者的にいつも
ひとつ引いた感じで、説明的な感じがしっくりと来ない。作者の意図がよく分から
ない。語り部としては優れている。品川猿などは時たま自分の名前が思い出せない
女性がいる。過去を追っていくと、自殺した知人の名札をずっともっていたが、あ
る日突然なくなってしまった。その頃から名前が思い出せなくなった。そして・・
・と人を引きつけてくれるが。