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ふたり女房
« 投稿日:: 8月 01, 2017, 06:50:04 am »
書名:ふたり女房
   京都鷹ヶ峰御薬園目録
著者:澤田 瞳子
発行所:徳間書店
発行年月日:2013/5/31
ページ:291頁
定価:1,600 円+税

江戸時代小説の舞台は江戸が多いのですが、この作品は京都が舞台。京都鷹ヶ
峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛(まくず)が主人公。女薬師(豊富
な薬草の知識が豊富)又医者としても何人かの患者を受け持っている。御典医
を務める義兄の匡(ただす)とともに薬草園の運営も行っている。

6つの短編集です。どの物語にも真葛が関わっているミステリーです。
第一話「人待ちの冬」は、評判の悪い薬種屋「成田屋」を巡る騒動がテーマ
第二話「春愁悲仏」は、怪しい民間療法の真実に迫る。効験あらたかな観音像
の正体と僧。
第三話「為朝さま御宿」は、三條西家の子供の重い疱瘡を切っ掛けに藤林家の
先代も関係した意外な事実が。
第四話「ふたり女房」は、男(浪人)は妻を残して江戸に行く。京で待つ妻は
いくら待っても帰ってこない夫を信じて待っている。江戸に出た夫は助けた武
士に気に入られて、その武士の娘と結婚して婿養子に入り、仕事も得る。ある
とき転勤で京都へ行くことに。妻を連れて京都に帰ってくるが。
第五話「初雪の坂」は、御薬園の薬の盗難が起こる、藤林家の名誉を傷つけか
ねない事件だ。ある少年が浮かび上がったが。
第六話「粥杖打ち」は、宮中でお行われる伝統行事「粥杖打ち」から始まった。
小正月十五日、宮城では望粥とも呼ばれる小豆粥を食する。粥杖とはこの粥を
炊いた際の杓子で、これで子のいない女性の尻を打てば、男児を産むと言い習
わされていた。「粥杖打ち」がきっかけでひとりの女御が妊娠していることが
判るが。

澤田瞳子は好きな作家、注目している作家の一人ですが、物語の作りが良い。
また過不足なく書かれているのでいらいらしない。そして余計な説明等を省い
て簡潔なところも良い。