投稿者 スレッド: 火城  (参照数 346 回)

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火城
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 07:54:16 pm »
書名:火城
著者:高橋 克彦
発行所:PHP研究所
発行年月日:1992/5/8
ページ:333頁
定価:1408円+税

「葉隠」を家訓とした肥前佐賀藩に「人目もはばからず、手放しで号泣した。」
武士にもあるまじき一人の男がいた。その名は本書の主人公佐野常民(佐賀の七
賢人といわれた)。幕末の佐賀藩士の五男として生まれ、9歳の時、藩医佐野常徴
の養子となった。成績優秀で秀才、長崎、京都、江戸に出て蘭学を極める。

日本の科学の創世紀、しかしある時点で自分の役は、佐賀藩に西洋の先端技術を
導入し、負けない藩、いや日本を作ることとの思いを強くして、人材集めに奔走
する。集めた人々を独自の蒸気船、蒸気車、反射炉の開発に従事させる。技術者
・からくり儀右衛門らの協力も得て夢の実現を目指す。海軍基礎をつくり、日本
で一番先進的な佐賀藩の礎を築いた。その後西南戦争の時、戦いで傷ついた人々
は敵も味方も区別なく助けないといけないと博愛社を作る。これが日本赤十字社
となる。

薩摩、長州、土佐には幕末、明治に政治家となり有名な人が多いが、この佐野の
ようにあまり目立たないけれど、日本の先行きをじっと見据えて幕末の動乱期を
生きた人がいた。江藤新平などと共に忘れ去られた一人かもしれない。