書名:岡田英弘著作集 Ⅵ東アジア史の実像
著者:岡田英弘
発行所:藤原書店
発行年月日:2015/3/30
ページ:573頁
定価:5500円+税
岡田英弘著作集の6冊目です。岡田英弘の視点で台湾、満洲、チベット、韓半島……シナ文明と密接に関わる周辺地域を、どう見るかということを述べた論説、エッセーなどを集めています。
特に中国の中で一番勢力があり、領土を広げた清朝を詳しく取り上げている。清朝の皇帝は満州族。中国の政権は漢族が治めて時期は短いという事実を認識しないと中国がみえない。
チャイナドレスは漢族の服装ではない。満州族の服装。清朝の公用語はモンゴル語、満州語、漢語の3つを使用していた。そして満州語が一番重視されていた。したがって満州語を研究して中国を見ないと清朝はみえてこない。東洋史学会では異端児的な岡田英弘の視点が面白い。
本書より
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目次
はじめに
第Ⅰ部 清朝とは何か
満洲族はいかに中国をつくったか
清朝史研究はなぜ重要か
〈満洲族、シナ制覇の第一歩〉サルフの戦いを検証する――後金国ハン・ヌルハチと明国
〈帝国を築き上げた三名帝〉康熙帝・雍正帝・乾隆帝とはどんな人物だったのか
康熙帝・朱筆の陣中便り
清朝の多様性を理解するためのキーワード
第Ⅱ部 台湾はどんな歴史をたどってきたか――紀元前から1970年代まで
台湾通史――台湾人はこうして誕生した
「ニクソン訪中声明」直後の台湾を訪れる
田中訪中を前に?経国が言うべきだったこと
日台空路はこうして切れた――大平外相がもたらした、北京も望まなかった断絶
鄧小平はついに「二つの中国」を認めた
国民党と台湾人と『美麗島』事件
第Ⅲ部 台湾の命運を握るもの――1980~90年代の情勢分析
李登輝の登場と「台湾人の台湾」への道
高揚する「一つの中国、一つの台湾」論
李登輝の深謀、江沢民の焦燥
総統選挙直前になぜ中国は軍事威嚇を強行したのか――総統直接選挙と台湾海峡危機
台湾をめぐるコラム三題
第Ⅳ部 近隣諸国の歴史と社会
近隣諸国は安保継続を望んでいる
韓国史をどう見るか――東北アジア史の視点から
高句麗の壁画発見余話
チベットの運命――ダライ・ラマ十四世のノーベル平和賞受賞に寄せて
パンチェン・ラマの悲劇
イリのシベ族、広禄先生のこと――中華民国時代の新疆の風雲
東南アジアが意識する文化大国日本
ベトナム五百年の執念――歴史に見るカンボジア征服の経緯
東南アジアの心と言葉
中曽根ASEAN歴訪と日中関係
第Ⅴ部 発言集
日中関係の今後/日本の新聞の奇癖/鄧小平死後の軍の発言力/東北三省の独立運動/
満洲文字の由来/漢字の簡体字と繁体字/台湾の共通語/台湾人の性格/
韓国と台湾の対日感情/戦後、朝鮮語は日本語化した/韓国におけるシナのインパクト/
西沙諸島の領有権/なぜ東南アジアでは近年まで歴史が書かれなかったのか/
東南アジアと日本/マラヤとアラブ
清朝史関連年表(1115~1912)
台湾史関連年表(前1世紀末~1996)
おわりに 初出一覧 図表一覧 人名索引 事項索引