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青春の十字架
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:17:15 pm »
書名:青春の十字架
著者:森村 誠一
発行所:中央公論社
発行年月日:2008/07/25
ページ:271頁
定価:1700 円+ 税

この作品は「純白の証明」「青春の雲海」につづく山岳三部作シリーズの最終巻
です。ミステリーの舞台として山岳は大都会と対置するという設定。

穂高岳に登った後、上高地におりて梓川の河原から夕陽に染められた穂高を仰ぎ
見る男、その隣に同じように穂高を眺めている女がいる。七夕のように連絡先も
聞かずに、来年の再会を約して新宿で別れる。男とは2年前に失踪した妹を捜し
続ける寒川、警視庁警護課のSP、要人警護につく寒川に、F県知事を巡る汚職の
闇が迫る。連鎖していく事件。上高地で出会った幻の女へと繋がっていく。青春
山岳ミステリー。久々の森村誠一です。昔と違って丸くなった森村誠一のような
気がする。脳天に抜ける鋭さがなくなっている。

本書あとがきより
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青春は未知数が多く、熱っぽく、そして常になにか飢えている。この三要素を備
えている者は、年齢に関わりなく永遠の青春を維持しているといえよう。
人生にとって青春は危険な収穫期である。危険を恐れていては収穫できない。ま
た良い収穫ばかりとは限らず、悪い収穫もある。青春の大いなる志を危険に捕ま
って潰してしまった人もいる。それらすべてを含めて、青春はそれぞれの人生の
中で最も輝いている十字架である。