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あなたの余命教えます
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 05:49:39 pm »
書名:あなたの余命教えます
著者:幸田 真音
発行所:講談社
発行年月日:2008/3/24
ページ:290頁
定価:1600 円+ 税

語り部は作家。その作家のもとに届けられる同年(56歳)の男性からのメール
をもとに、人の余命を巡る人々の葛藤が語られます。作家は幸田真音かもしれな
い。

メールの主は永関恭次。中堅の電気機器メーカー田代電器産業で部長代理を務め
る56歳。冒険をせずに定年を見据えた彼のもとに、高校時代の同級生沢井憲司
の急死の訃報が入る。この訃報をきっかけに余命について考えるうちインターネ
ットで「あなたの余命教えます」のキャッチコピーを謳う国際アガスティア研究
所に巡りあう。

この研究所のオリエンテーションを受けにいった永関は会場で、余命を知ろうと
する1組+2人の人々と巡りあう。不安に揺れる彼らは偽名を名乗りつつも、連
絡先を交換する。自分の余命を知りたいというよりは介護する親の余命だったり
、それぞれ人によって違っている。スズキ夫妻(仮名)は夫の母親と同居するに
あたり、母親の余命を知りたい。30代のアオヤマミチコ(仮名)は無口で何も
明かさない。20代のコムスメ(仮名)はパパの余命が知りたいという。

幸田真音と言えば金融をテーマにした物語が多いが、インターネット、余命を算
出するためのシミュレーション、データ処理とちょっと毛色の変わった作品。高
齢化、老人介護問題など現代の問題を取り上げている感はあるが、ちょっと力不
足。最近流行になっている言葉を弄んだ感じの作品という気がする。個人情報保
護の弱点などを上げているが説得力がない。コンビニなどのPOSシステムなどから
漏洩すると言うが、論理的飛躍が多い。もう少し調べた上で物語りとして語って
欲しい。金融は自分の得意とするところ。しかしこの小説は少々いただけない。