投稿者 スレッド: 朱夏  (参照数 338 回)

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朱夏
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 05:20:43 pm »
書名:朱夏
著者:宮尾登美子
発行所:新潮社
発行年月日:2000/11/20
ページ:630頁
定価:781 円+ 税

 宮尾登美子の自伝的な作品です。同郷の土佐から入植した開拓団の子弟教育に
あたる夫、生後まもない娘とともに、満州に渡った綾子は18歳。わずか数ヶ月で
敗戦を迎えるとは?昨日までの人間観、価値観は一挙に脆く崩れ去り、一瞬にし
て暗転する運命、忍び寄る極寒の冬。

戦後の満州から日本にたどり着くまでの530日を死生観、人間認識を吹き飛ばす衝
撃力をもった小説です。満州には60万人の関東軍が駐留していて民間人を守って
くれるはずだった。でもソ連が国境を越えて進入した時には関東軍は逃げ去った
あと。民間人は自分たちで生きる、逃げる、どうするか?すべて決めないといけ
ない。

でも今のように情報が無かったので、知らないことは強い「果たしてまだ、日本
はあるのか・・?」開拓団の中でもすぐに日本に帰りたいと考えた人より、この
満州でどう生きていけばいいかを考えた人も多かった。開拓団に参加した人のほ
とんどは日本に住むところが無い人。満州を終の棲家と覚悟してきた人が多かっ
た。そんな人々が日本に戻れるようになるまでの生活、生き方など宮尾登美子の
筆力で描いている。宮尾登美子の満州での経験など自伝と重なるところがいっぱ
いあるようだ。