投稿者 スレッド: いよよ華やぐ  (参照数 517 回)

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いよよ華やぐ
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 04:27:27 pm »
書名:いよよ華やぐ(上)
著者:瀬戸内寂聴
発行所:新潮社
発行年月日:1999/3/25
定価:1600円+税

書名:いよよ華やぐ(下)
著者:瀬戸内寂聴
発行所:新潮社
発行年月日:1999/3/25
定価:1600円+税

阿妙(90代、ゆき(80代)、珠子(70代)の3人の女性が主人公。老いて益々輝い
ている女性の三生。生まれてから死に向かって生きていく人間を3人の人生を描い
ている。高齢化が困った問題ではなく、明るく前向きに描かれている。困ったこ
と、苦労したこと。世の中真っ暗になってくる程、人と人のつき合いは優しくな
る。景気の良い時代ばかり経験した人にとっては100年に一度と大騒ぎをしないけ
れど。世の中不景気になればなるほど、人々が優しくなってくる。1メーターしか
乗らなかったら非常に機嫌の悪いタクシー運転手も、「乗って頂けるだけで有り
難いのです」と、店員もみんな優しく人間本来の良い面が出て来る。景気の良い
ときは稼げないものは社会のゴミのように扱われる。経済的には豊かになって、
心の貧乏になっていた今までの行き方にある方向性を示しているような気がする
。じっくりと優しい、物事に動じない3人の女性の一言に重りのあるものを感じる
。また易しいことばをつかって本質的な表現をしている。やっぱり年月をかけた
重みが感じられる。文章がこなれている。93才になって、いつ迎えが来ても良い
けれど、まだ初めてのことが経験できることを楽しみたいと好奇心旺盛に生きて
いる阿妙。この本の中に源氏物語の場面をいろいろ創造させられる。上品な言葉
遣いが良い。瀬戸内寂聴の生きた人生を感じられる本です。若い頃の本と比較し
て読むと面白いと思う。

本文より
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死ぬのは未知の国への地図のない旅
信は任すなり
あんまりは無理はしなさんな。六十を超せば、何事も自然体でゆきましょう。心
の声に耳を傾けて