書名:ヒルズ黙示録
検証・ライブドア
著者:大鹿靖明
発行所:朝日新聞
発行日:2006/4/30
定価:1,500円+税
ITバブルに浮かれた時代に起こったライブドア事件を、村上ファンド、楽天、Yah
ooなどの動きともにライブドアの歩みをなぞったレポートです。マネーゲームを
新しい仕組み、やり方、イメージを膨らませることでマネー、マネーに走った熱
狂的な動きなど比較的冷静に分析している。フジテレビ、ニッポン放送(株)の攻
防戦、孫の朝日新聞(株)買収などを参考に、自社株(ライブドア)の市場価値を
上げるために行った色々な宣伝活動。法律の隙間を狙った攻防などはなかなか面
白いが、IT時代のあだ花という気がする。マスコミがあおって、後で糞味噌。い
つも変わらない騒動劇に過ぎなかったのかもしれない。いつまで経っても懲りな
い面々という感じもしないでもない。最近の新聞で楽天とTBSの和解のニュースも
あるが、大騒動の割に誰が得をしたのか?虚業に振り回されないような仕組みが
必要ですね。金融商品、株などの品質は実はどこも保証するという仕組みが出来
ていない。通常工業製品にしろ、食品にしろそれぞれ規制、品質の保証の仕組み
があるのですが、マネーには全くない。また国境を越えるマネーの流れにも規制
は外為法位。原則自由の仕組みで起こった事件であるかも知れない。今の不況を
もたらしたサプライム問題の根もここにあるように思う。そういう意味であのIT
バブルの流れを見直してみるのには良い本ではないかと思う。でもやっぱり懲り
ずに20年経ってもまた同じような問題が起こるのでしょうね。「真浜の砂は尽き
るとも、悪事の種は尽きまじ」(「石川や浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は
尽きまじ」石川五右衛門) ですね。