書名:見なれた町に風が吹く
著者:山田 太一
発行所:中央公論社
発行年月日:1997/6/7
ページ:279頁
定価:1400円+税
商社勤務で営業から病気を経て総務に異動した業務主任香子、独身のキャリアOL、ある日映画監督の連続講座に参加するところから物語は始まる。この講座の参加者で60代の男中川から映画撮影の現場を手伝って貰えないかと誘われる。そこには往年の名監督、一度も芽が出なかった俳優、そしてプロジューサーの中川。売れなかった俳優は妻の残した遺産で裕福な生活、俳優人生で悔いが残る。だから一度も使ってくれなかった名監督に新しい映画を作ってくれるように頼む。勿論資金は俳優が出す。
なんとなく続けていること、本当に自分がやりたかったことが出来ている人は少ない。この人たちも何となく映画に関係するようになって、それなりにプロとして生きたが、本当に自分のやりたかったことは他にあったのではないか?37才香子もキャリアOLとして生きることが本当に望んでいたものか?
人生後半を迎えた男たちが、今生きる意味を求めて掛けた夢とは、それに共感を覚える人々の姿を描いている。山田太一の視点が面白い。
山田太一、甘い家庭の辛い断層
http://book.asahi.com/reviews/column/2014022000004.html