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岸辺のアルバム
« 投稿日:: 5月 01, 2015, 07:42:31 pm »
書名:岸辺のアルバム
著者:山田 太一
発行所:角川書店
発行年月日:1982/6/20
ページ:474頁
定価:680円+税

今から41年前、昭和49年(1974)年9月に現在の東京都狛江市猪方地先の堤防が決壊し、19戸の家屋が多摩川の濁流に呑み込まれて崩壊・流出したという狛江水害(多摩川水害)が印象深い小説。当時多摩川の近くに通っていたので、南武線が津田山、溝ノ口など決壊して水浸し、東横線の多摩川鉄橋の直ぐしたまで水が流れていた。自由が丘経由で田園都市線で帰ったことを覚えている。

テレビドラマとしては今までのハッピーエンド、家族の仲良しごっことは全く違った視点で話は進む。仕事ひと筋の夫田島謙作、なに不自由なく平凡な毎日を主婦として送る貞淑な妻則子、女子大生の娘律子、そして受験生の繁。夫婦に男女二人の子供、そして狛江に一戸建ての家をもって平和に暮らす四人家族の日常。そんなある日妻則子に掛かってきた電話から綻びが始まった。

家庭を気になりながら全く省みない夫謙作、妻は浮気へ、娘は外国人と付き合う、息子は三流大学にも受からない。そしてそれぞれバラバラの生活、そしてそれぞれが何を思い、何を考えているのか判らなくなってしまう。家というだけで中にいる家族は段々崩壊していく。

それで何とかしなくてはと誰もが考えるが、旨くいかない。そんなとき多摩川水害で大事な家が流されそうになる。避難勧告が出たとき、母親の「家族の想い出がいっぱい詰まった写真アルバムを持ってきてほしい!」という台詞。助け合って生きていこうとする再生の過程はどうなるのか?四人家族にとって大切なものは何か?生きていく上で大切なものを教えてくれる。この「岸辺のアルバム」からホームドラマが変わったと言われる画期的な作品。

国広富之の息子繁(デビュー作)、杉浦直樹の夫謙作、八千草薫の妻則子、中田喜子の娘律子、その他沢田雅美、津川雅彦、竹脇無我、村野武範、風吹ジュン、山口いずみなど懐かしい顔ぶれだ。もう40年以上経ったのですね。