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敵は微塵弾正
« 投稿日:: 12月 27, 2014, 06:12:28 pm »
書名:敵は微塵弾正
著者:中村 彰彦
発行所:実業之日本社
発行年月日:2004/5/25
ページ:281頁
定価:1600円+税

「赤い袖口」「ガラシャを棄てて」「敵は微塵弾正」「晋州城の義妓」「亡霊お花」「恋の重荷 白川栄華の夢」の短編集です。

「赤い小袖」は佐久間盛政がお市に子供の頃から憧れていた。賤ヶ岳の戦いで秀吉に敗れて捉えられた時、秀吉に降参したら命を助けると言われた。でも盛政は打ち首を望んだ。そのとき紅裏の死装束で。それは盛政が会ったお市の赤い袖口が忘れられなかったから。佐久間盛政の最後を描いた作品。
「ガラシャを棄てて」
細川忠興が上杉景勝を討伐に行って大坂を留守にしていたとき、石田三成の軍勢が留守宅のガラシャを人質にと迫った。そのときガラシャを守るために残されていた稲富伊賀守祐直(鉄砲の名人)。屋敷を囲まれたとき戦うこともせず、敵方に逃げてしまったという話。嫉妬深い忠興の嫉妬ぶり、そして稲富伊賀守祐直への復習を執念を燃やすようすなどを描いている。

さきだつはおなじかぎりの命にもまさりて惜しき契りとぞ知れ
散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ

「敵は微塵弾正」
毛谷村六助が主人公、京極内匠という浅井家に口八丁手八丁で仕えて、それがばれると逃げ出してしまう。その京極内匠は毛利藩の指南役を殺害して追われの身となる。豊臣秀吉の九州征伐で筑後高橋家では島津側につきその準備をしていた。ここでは武芸者の採用は毛谷村六助を破った者でないと雇わないといって毛谷村六助がこの役を務めてから1人の採用がなかった。そこへ言葉巧みに京極内匠が立ち会いに負けてくれと願ってくる。それも年老いた母をつれて。そして其の経緯をくどくど述べる。同情した毛谷村六助は負けてやることにする。そして京極内匠は高橋家の剣術指南役になる。ところが毛利家の指南役の妻、2人の娘が父親の敵京極内匠を追って毛谷村六助のところにくる。そして全てを知った毛谷村六助はその仇討ちを助けてやる。

「晋州城の義妓」
高橋家が滅んだ後毛谷村六助は肥後熊本加藤清正に仕える。名も貴田孫兵衛統治と改める。明を攻めるために朝鮮を借りると秀吉が始めた明征伐。それに参加した加藤清正、当然貴田孫兵衛統治も同行する。そして形勢が悪くなって朝鮮から撤兵するころのこと。兵士達が休んでいたところ綺麗に着飾った義妓が手招きする。その手招きに応じて出て行った兵士が居た。その義妓は兵士を抱え込むようにして大河に身を投げて自殺した。この兵士が毛谷村六助だったという言い伝えが今でも朝鮮にも残っている。(現地の観光案内版にある)でも著者は大男で偉丈夫の毛谷村六助に抱えられても一緒に身を投げたとは考えられないと書いている。

「亡霊お花」
賤ヶ岳7本槍の加藤嘉明の息子、明成に仕えている堀主水が主役。堀主水が見つけてきたお花、側室として大事にしていた。ある日堀主水が猪苗代の方に出張したとき、お花は浮気をする。そして予定より早く帰ってきた堀主水にその現場を押さえられてします。間男とお花を始末した堀主水の元には夜になると訪れてくる亡霊が

「白川栄華の夢」
石田惣右衛門は近くの諏訪神社に出るという狐を退治に出かける。そこであった奇怪な出来事。

面白い小説集です。