書名:小説 帝都復興
著者:岳 真也
発行所:PHP研究所
発行年月日:2011/7/22
ページ:300頁
定価:1600円+税
東日本大震災からの復興事業を統括する「復興庁」が発足したのが2012年2月10日。震災発生から実に11ヶ月を経て、やっと正式設置。それに比べて関東大震災の場合、震災26日には、内閣総理大臣の直属機関として「帝都復興院」が発足しています。このスピードの違い。
1923年(大正12)9月1日正午、相模湾沖を震源とするM7.9の大地震が発生しました。東京は下町を中心に大火災となり、その多くが灰燼に帰し、喪われた人命10万余という関東大震災。その翌日には元東京市長で政治家後藤新平が動き出した。東京市長の時に都市計画を立てて東京大改造を意図したが議会の反対で挫折。
その責任も感じて第二次山本権兵衛内閣に内務大臣として入閣する。後藤を総裁とする帝都復興院の設置は震災後26日、彼の信頼するスタッフで固められた復興院は斬新で大胆なそして巨額の資金を見積もった計画、復興案を示す。既成の議員たちの度肝を抜く。しかしその壮大な構想は厳しい財政難、政治的駆け引きに翻弄されて縮小を余儀なくされる。
戦後昭和天皇がこの後藤新平の帝都復興案が採用されていたら、太平洋戦争での東京空襲による犠牲者はもっと少なかっただろうと。
大風呂敷と言われた後藤新平の半生を描いたドキュメンタリーです。
本書より
---------------
小さな風呂敷はわずかなものしか包めない。
大きな風呂敷はつぎつぎと、たくさんのものを包める。
そして包むものは、どれも夢や希望のかたまりだ。