書名:菅原道真 見果てぬ夢
著者:三田 誠広
発行所:河出書房新社
発行年月日:2012/2/28
ページ:337頁
定価:2000円+税
菅原道真といえば、誰もが知っている学問の神様であり、日本三大怨霊(菅原道真、平将門、崇徳天皇)の一人とも言われている。ぬきんでた才覚で文章博士(儒者)でありながら、右大臣まで上りつめる。血縁が生涯を左右する時代に中流の公家に生まれながら、醍醐天皇の父宇多天皇に重用されて、右大臣に昇進し、右大将を兼任、従二位まで昇進するが、その出世を快く思わない。左大臣藤原時平をはじめ藤原氏は他の貴族に謀られて太宰府に左遷、息子達も流刑された。菅原道真の死後、今日には天変地異が続き、醍醐天皇の皇子達も次々病死した。また清涼殿にも落雷をうけ朝廷要人たちに多数の死傷者が出た。スーパーヒーローを期待する声が多いが、いざ人よりぬきんでてしまった人間は孤独、そして嫉妬の対象として葬り去ってしまうこの風土、実は平安時代初期の菅原道真の時代から営々と続いてきた事かもしれない。
よく知られていない菅原道真の生涯を描いた作品。儒者というより、政治家菅原道真を描いている。豪華な登場人物が随所に出てくる。また登場人物も多数で名前を覚えるだけでも大変、才覚を持って出る杭になった人菅原道真に対する、才覚のないその他大勢が陰湿ないじめ、はかりごと。これは今も昔も変わらない。儒学を四角四面に説く、行動、思考の基準が「仁・義」これを頑なに貫いていく道真の姿も、もう少し柔軟性があってもいいのではと思いながら読んだ。もうすぐ白梅も見頃の頃、ちょうど良いテーマだったかなと思う。湯島の白梅ももうすぐ見頃ですね。
ちなみに日本三大怨霊は
菅原道真は、天神(雷神)と学問の神として太宰府天満宮(福岡県太宰府市)や北野天満宮(京都市上京区)などに祀られて日本最大の怨霊。天皇でない人間が神として祀られた最初の人
平将門は、築土神社(東京都千代田区)や神田明神(東京都千代田区)に祀られている。
崇徳天皇は、白峯神宮(京都市上京区)に祀られている。
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