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失われたものの記録 望郷
« 投稿日:: 12月 26, 2013, 08:52:11 pm »
書名:失われたものの記録 望郷
著者:男全 冨雄
絵:男全 冨雄
発行所:田園都市出版
発行年月日:1999/8/15
ページ:163頁
定価:2000+税

港北ニュータウンが開発されてあたりの景色は一変してしまった。多くの失われたものがある。そんな失われたものを著者の記憶、記録綴ったものです。「すみれが丘」が開発されて洪水が頻発するようになって小川の鰻、魚もいなくなってしまった。赤土混じりの泥水が流れてくるようなった。この時から環境は変わってしまった。それ以降は港北ニュータウン開発に突き進んでいった。小学校のこと、青年学校のこと、戦争中のこと、北山田の空襲のこと、戦後直後のことなどが著者の絵と文と俳句、詩で綴られています。

港北ニュータウンは公団が地権者の土地の4割を買収することで始まり、公団はこの4割買収に応じた人たちに「まじめに協力してくれた正直者には、馬鹿をみさせない」と言われたが、現実にはなにもなかった。また昭和55年完成と言いながらどんどん延期されて、61年延期され、65年に延期、そして平成7年に延期、45歳始まったが67歳になっても民間用地の換地は終わったが、鉄道も開通されるが、公園、事業用地はまだまだ遅れるという。と回想している。

住居表示についても「北山田」という名前について新住民から田舎みたいで土地の価値が下がってしまうと一部猛反対があったとのこと。でも著者は新住民、旧住民ではなく、この土地に先祖だって移住してきた人、それが数百年の人だって縄文の遺跡時代考えればやっぱり新住民、みんな新住民だと言っている。文章も絵も俳句も詩も旨くはないけれど、素直に心情が滲み出ていて言いたいことが良く伝わってくる。テクニックに走って、才気走った文章、絵、俳句、詩より心に迫ってくるものが一杯ある。

いろいろのご縁でこの都筑区に住まうことになったひとびとには一度読んで置いて欲しい本という感じがします。